USBメモリの2TBに本物はある?偽物の見分け方と危険性

タケル
マキさん!ネット通販で2TBのUSBメモリが数千円で売ってるんだけど、これって超お買い得じゃない?
マキ
おっと、タケル君!その価格はかなり危険なサインだよ。その安さには大きな落とし穴があるんだ。
タケル
え、そうなの?ただのセール品かと思った…
マキ
うん。この記事で、なぜその価格があり得ないのか、そして大切なデータを守るための知識をしっかり解説するから、一緒に見ていこう!

「2TB」という大容量のUSBメモリが、数千円という驚きの価格で販売されているのを見かけたことはありませんか。しかし、その魅力的な価格の裏には、大切なデータを一瞬で失う深刻なリスクが潜んでいます。市場の実態として、安価な大容量USBメモリのほとんどは容量詐欺を目的とした偽物であり、データ消失のリスクと隣り合わせです。

この記事では、偽物の見分け方から信頼できる製品の選び方まで、専門的な視点で徹底解説します。正しい価格相場や、サンディスクをはじめとする信頼できるメーカーのおすすめ、怪しいレビューや評判を見抜くコツ、そして安全な販売店はどこで買えるのかを詳しくご紹介。

さらに、購入後に実際の容量を確認する方法としてチェックツールH2testwの使い方や、表示とは異なる実際に使える容量、偽物の転送速度の実態にも迫ります。万が一、偽物を購入した場合の対処法や、大容量ストレージの賢い選択肢としてのポータブルSSDについても解説しますので、安心してデータ管理ができる最適な製品を見つける一助となれば幸いです。

  • 市場に出回る2TB USBメモリの真実と偽物の実態
  • 容量偽装USBメモリが引き起こす危険性と簡単な見分け方
  • 本当に信頼できる大容量ストレージの正しい選び方
  • 万が一偽物を購入してしまった場合の具体的な対処法

USB メモリ 2TBで本物は存在する?偽物の実態

  • 市場の実態 なぜ偽物が多いのか
  • 容量詐欺とデータ消失のリスク
  • 価格や外観による偽物の見分け方
  • サンディスク製を謳う偽造品に注意
  • レビュー 評判から探る偽物の特徴
  • 偽物の転送速度は極端に遅い
  • 実際に使える容量は表示と違う

市場の実態 なぜ偽物が多いのか

薄暗い作業場で、大量のUSBメモリにサンディスクなどの有名ブランドロゴを不正に印刷する偽造品製造の現場。容量詐欺を目的とした偽物が市場に多く出回る理由と、その危険な実態を物語っている。
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2TBのUSBメモリを探す上で、まず知っておくべき最も重要な事実は、2024年現在、SanDisk、KIOXIA、Kingstonといった主要メモリメーカーは、一般消費者向けのラインナップとして2TBのUSBメモリを正規販売していないという点です。

現在、市場で流通している正規品の最大容量は1TBが主流です。それにもかかわらず、大手通販サイトやフリマアプリで数千円という非現実的な価格で販売されている「2TB」や「4TB」を謳う製品は、そのほぼ全てが容量を偽装した偽造品と断言できます。

偽造品が市場に溢れる理由

  • 高い利益率: 8GBや16GBなどの安価で小容量なメモリチップを使い、コントローラーのファームウェア(制御プログラム)を書き換えるだけでPCに「2TB」と誤認させられます。製造コストを極限まで抑えつつ高容量製品として販売できるため、非常に大きな利益が見込めます。
  • 技術的な容易さ: 容量偽装に必要なツールが簡単に入手できるため、専門的な知識がなくても比較的容易に偽造品を製造できてしまいます。
  • 消費者の需要: 多くの消費者は「安くて大容量」という魅力的な言葉に惹かれ、技術的な実現性や適正価格を知らずに購入してしまう傾向があります。
  • 販売の容易さ: AmazonマーケットプレイスやAliExpress、フリマアプリといったオンラインプラットフォームを通じて、製造元を特定されにくい形で世界中の消費者へ手軽に販売できる環境が整っています。

技術的には2TBのUSBメモリ製造は可能ですが、非常に高度な積層技術(3D NAND)が必要となり、製造コストは膨大になります。もし正規品が存在したとしても、その価格は最低でも数万円以上になると考えられ、数千円での販売は絶対にあり得ません。

容量詐欺とデータ消失のリスク

タケル
見た目上は2TBなのにデータが消えるってどういうこと?仕組みがよくわからないな…。
マキ
コントローラーを改造してPCを騙してるんだ。実際は小容量だから、限界を超えるとデータが上書きされて壊れちゃうんだよ。

容量偽装USBメモリの最も恐ろしい点は、保存したはずの大切なデータが、ある日突然すべて失われるリスクです。その仕組みは非常に悪質です。

偽装USBメモリは、内蔵されたコントローラチップのファームウェアが不正に書き換えられています。これにより、PCに接続した際にOS(WindowsやMac)に対して「私は2TBの容量があります」と嘘の情報を報告します。ユーザーはPC上の表示を信じてデータを書き込みますが、実際に搭載されているのは8GBや16GBといった、はるかに小さい容量の低品質なメモリチップです。

では、実際の物理容量を超えてデータを書き込むと何が起こるのでしょうか。

データが破壊される仕組み

  1. 循環上書きによるデータ破壊
    実際の容量(例えば16GB)の終端までデータが書き込まれると、次に書き込まれるデータは先頭に戻って古いデータの上に上書きを開始します。ファイル名やフォルダの階層は残っていても、ファイルの中身(実データ)は破壊され、二度と開けなくなります。
  2. ファイルシステムの破損
    不正な書き込みが繰り返されることで、どこに何が保存されているかを管理する「ファイルシステム」が破損します。これにより、USBメモリ全体が認識されなくなったり、「フォーマットしてください」というエラーが表示されたりし、保存されていた全データへのアクセスが不可能になります。

このようにして破損・消失したデータは、専門のデータ復旧業者でも復旧はほぼ不可能です。思い出の写真、仕事の重要書類など、かけがえのないデータを一瞬にして失う危険性があることを絶対に忘れてはいけません。

価格や外観による偽物の見分け方

正規品と偽物のUSBメモリのパッケージを並べて比較し、偽造品の見分け方を解説。偽物特有の不鮮明な印刷や安っぽい外観に焦点を当て、価格だけでなく見た目で判断する重要性を示している。
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幸いなことに、多くの偽造USBメモリは作りが粗雑なため、いくつかのポイントを注意深くチェックすることで見分けることが可能です。

偽物を見分ける4つのチェックポイント

1. 価格
最も分かりやすい判断基準です。2TBという容量に対して、価格が数千円など市場相場から著しく安いものは100%偽物です。正規品の1TBモデルですら1万円以上が相場です。
2. パッケージ
  • 印刷品質:文字がにじんでいたり、色が薄かったり、不鮮明な場合は要注意です。
  • 表記:スペルミスや、文法的に不自然な日本語が使われていることがあります。
  • 認証シール:正規品にあるはずのホログラムシールやシリアルナンバーがなかったり、明らかに安っぽい偽造シールが貼られていたりします。
3. 本体
  • ロゴ:メーカーの公式ロゴとフォントやデザインが微妙に違う、または印刷が粗雑です。
  • 品質:プラスチックの成形が雑でバリ(余分な突起)が残っていたり、金属部分の質感が悪かったりと、全体的に安っぽい作りをしています。
4. ブランドと販売元
  • 聞いたことのない無名ブランドや、大手メーカーのロゴを不正に使用している製品。
  • メーカー公式サイトの製品ラインナップに存在しない型番の製品。
  • 信頼性の低い出品者(特に海外の出品者や新規出品者)から販売されている。

これらのポイントを総合的に判断することで、手元に届く前に偽物を回避できる可能性が高まります。

サンディスク製を謳う偽造品に注意

数あるメーカーの中でも、特に偽造品のターゲットにされやすいのがSanDisk(サンディスク)です。

サンディスクはフラッシュメモリ業界の世界的トップブランドであり、その高い品質と信頼性から絶大な人気を誇ります。偽造業者は、そのブランド力を悪用し、消費者を騙そうとします。

サンディスクの偽造品に関する注意点

  • 公式ラインナップに2TBは存在しない: 前述の通り、2024年現在サンディスクの公式ラインナップに2TBのUSBメモリは存在しません。一般向けに販売されている最大容量は1TBモデルです。したがって、市場で「SanDisk 2TB」として販売されているUSBメモリは、全てロゴを不正使用した偽造品です。
  • 偽物の流通量が非常に多い: ブランドの人気と信頼性が高いがゆえに、偽造品の数が他のメーカーに比べて圧倒的に多くなっています。特にオンラインマーケットプレイスでは注意が必要です。

サンディスク製品を購入する際は、価格の安さに惑わされず、後述する正規販売店を選ぶことが極めて重要です。

レビュー 評判から探る偽物の特徴

スマートフォンのECサイトで、容量偽装USBメモリのレビューを確認している様子。サクラの可能性がある高評価よりも「データが消えた」という具体的な低評価の評判こそが、偽物を見抜く重要な情報源となる。
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マキ
高評価レビューでも「コスパ最高」みたいな中身のないものは要注意だよ。具体的な被害報告がないか、低評価レビューをしっかり確認しよう。

オンラインショッピングでは購入者のレビューが重要な判断材料になりますが、偽造品の販売ページではレビューすらも巧妙に操作されている場合があります。

偽物のレビュー・評判に見られる特徴

  • 表層的な高評価: 「大容量でコスパ最高!」「問題なく使えました」といった、購入直後の表面的な感想が多い傾向にあります。これは、実際に大容量のデータを書き込んで異常が発生する前にレビューを書いているためです。
  • 不自然な日本語: レビューの文章が機械翻訳を使ったような、不自然な日本語であることがよくあります。
  • サクラレビューの可能性: 短期間に、内容の薄い同様の高評価レビューが集中している場合、販売者が意図的に投稿したサクラレビューである可能性が高いです。

低評価レビューにこそ真実がある

一方で、低評価レビューに目を通すと、偽造品であることの動かぬ証拠が見つかります。

「数十GB入れたらデータが全部消えた」「フォーマットもできなくなった」「転送速度が異常に遅い」といった具体的な被害報告は、容量偽装を裏付ける信頼性の高い情報です。購入を検討する際は、高評価の数だけでなく、低評価の内容を必ず確認するようにしましょう。

偽物の転送速度は極端に遅い

偽造USBメモリのもう一つの特徴は、性能の低さ、特に転送速度の遅さです。

パッケージや本体に「USB 3.0」や「USB 3.1」といった高速規格の印字があっても、それは全くの偽りです。内部には低速なUSB 2.0コントローラと、品質の低いメモリチップが使われているのが実態です。

規格 理論上の最大速度 偽物の実測値(目安)
USB 3.0 5Gbps (約625MB/s) 数MB/s 〜 10MB/s程度
USB 2.0 480Mbps (約60MB/s)

上記の表のように、USB 3.0を謳っていても、実際の転送速度はUSB 2.0の理論値にすら遠く及ばない、数MB/s程度しか出ないことがほとんどです。これは、数GBの動画ファイルなどをコピーしようとすると、完了までに非常に長い時間がかかるレベルの遅さです。

もし購入後に速度が異常に遅いと感じた場合は、後述するチェックツールだけでなく、「CrystalDiskMark」のようなベンチマークソフトで速度を測定してみることも、偽物であることの有力な証拠となります。

実際に使える容量は表示と違う

パソコン上で比較される、USBメモリの表示容量と実際に使える容量の違い。正規品の正常な差異と、偽物の容量詐欺による全く信用できない表示の違いを明確にし、正しい知識の重要性を解説している。
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タケル
あれ?正規品の1TBのUSBメモリを買ったら、PCでは931GBって表示されたんだけど…これも不良品?
マキ
それは正常だから安心して!メーカーとPCの計算方法が違うだけで、故障じゃないよ。偽物の容量詐欺は、そのレベルの話じゃないんだ。

USBメモリの容量について、多くの人が混乱するポイントが2つあります。「正常な仕様による容量の差異」と「偽造品による容量詐欺」です。この2つは全くの別物です。

正常な仕様:表記容量と実容量の差

まず、全ての正規品ストレージ製品には、パッケージ表記の容量とPC上で認識される容量に差があります。これは故障や詐欺ではありません。

  • メーカーの計算方法(10進数): 1KB = 1,000バイト
  • PC(OS)の計算方法(2進数): 1KB = 1,024バイト

この計算方法の違いにより、例えば1TB(1,000,000,000,000バイト)の製品は、PC上では約931GBと表示されます。これは正常な仕様です。

偽造品の場合:全く信用できない容量

一方、偽造USBメモリの場合、PC上に「2TB」と表示されていても、それはファームウェアによって偽装された見せかけの数字に過ぎません。

実際にデータが破損せずに保存できる物理的な上限は、後述するチェックツールで判明した容量(例えば15.8GBなど)となります。しかし、その「実際に使える容量」部分ですら、偽物に使われているメモリチップは耐久性や品質が極めて低いリサイクル品の可能性が高く、いつ故障してもおかしくない状態です。そのため、たとえ小容量のストレージとしてであっても、継続的な使用は絶対に推奨できません。

USB メモリ 2TBで本物を買うための知識と対処法

  • 失敗しない信頼できる製品の選び方
  • 信頼できるメーカー おすすめ6選
  • 安全な販売店 どこで買える?
  • 購入前に知るべき正しい価格相場
  • H2testwで容量を確認する方法
  • 容量チェックツール H2testwとは
  • 偽物を購入した場合の対処法
  • 代替案ならポータブルSSDが最適
  • USB メモリ 2TBで本物を探す際の総括

失敗しない信頼できる製品の選び方

偽造品のリスクを避け、大切なデータを守るためには、信頼できる製品を正しく選ぶ知識が不可欠です。以下のポイントを必ず守るようにしましょう。

信頼できる製品を選ぶための5つの鉄則

  1. 正規販売店で購入する
    ヨドバシカメラやビックカメラなどの大手家電量販店、PC専門店、またはそれらの公式オンラインストア、メーカー直販サイトから購入するのが最も安全です。
  2. 信頼できるメーカーを選ぶ
    SanDisk、KIOXIA、Kingston、Samsung、Buffaloなど、長年の実績がある有名メーカーの製品を選びましょう。
  3. メーカー公式サイトで製品情報を確認する
    購入を検討している製品の型番が、メーカーの公式サイトに正規ラインナップとして掲載されているかを確認します。ここに掲載がなければ偽物の可能性が高いです。
  4. 価格相場を把握する
    極端に安い製品は絶対に避け、複数の信頼できる販売店の価格を比較検討し、適正価格を把握しておくことが重要です。
  5. レビューを鵜呑みにしない
    特にオンラインマーケットプレイスでは、サクラレビューに惑わされず、具体的な使用感や速度測定の結果が書かれている信頼性の高いレビューを参考にしましょう。

特にAmazonで購入する場合は注意が必要です。「販売元」が「Amazon.co.jp」となっている商品を選ぶのが基本です。マーケットプレイスの出品者から購入する場合は、出品者の評価を十分に確認し、それが大手家電量販店などの正規代理店であることを確かめてからにしましょう。

信頼できるメーカー おすすめ6選

サンディスク、キオクシア、キングストンテクノロジー、サムスンなど、信頼できるおすすめメーカーのUSBメモリ製品が一列に並ぶ。失敗しない選び方として、実績のあるブランドを選ぶことの重要性を示している。
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USBメモリを選ぶ際には、実績と信頼性のあるメーカーを選ぶことが基本です。以下に、安心して購入できる代表的なメーカーを6社紹介します。

メーカー 特徴 代表シリーズ
SanDisk (サンディスク) Western Digital傘下の世界最大手。品質・性能・信頼性において業界をリードする存在。 Ultra, Extreme
KIOXIA (キオクシア) 旧東芝メモリ。NAND型フラッシュメモリの発明元であり、高品質で信頼性が非常に高い。 TransMemory
Kingston (キングストン) メモリ製品で世界的なシェアを持つ大手。高い互換性と優れた耐久性が魅力。 DataTraveler
Samsung (サムスン) NANDフラッシュのトップメーカー。高性能かつデザイン性に優れた製品が多い。 BAR Plus, FIT Plus
Transcend (トランセンド) 台湾の老舗メモリメーカー。コストパフォーマンスに優れた製品を多数ラインナップ。 JetFlash
Buffalo / I-O DATA 日本のPC周辺機器大手。国内でのサポートが手厚く、初心者でも安心して購入できる。

これらのメーカーは、いずれも厳しい品質管理のもとで製品を製造しており、公式サイトで製品情報や保証について明確に記載しています。聞いたことのないブランドの激安品に手を出すよりも、これらの信頼できるメーカーの製品を選ぶことが、結果的にデータを守ることにつながります。

安全な販売店 どこで買える?

マキ
Amazonで買うなら『販売元: Amazon.co.jp』になってるか必ずチェック!マーケットプレイスは玉石混交だから特に注意が必要だよ。

どれだけ信頼できるメーカーの製品でも、購入する販売店を間違えれば偽物を掴まされるリスクがあります。以下のリストを参考に、安全な購入先を選びましょう。

信頼性が高く、おすすめの購入先

  • 家電量販店の実店舗・公式オンラインストア
    ヨドバシカメラ、ビックカメラ、ヤマダ電機、ケーズデンキなど。確実に正規品が手に入り、万が一の際のサポートも万全です。
  • PC専門店の店舗・公式オンラインストア
    パソコン工房、ドスパラ、ツクモなど。専門知識豊富なスタッフがいるため、安心して相談できます。
  • Amazon.co.jp(直販)
    商品ページで「販売元」および「発送元」が「Amazon.co.jp」となっている商品。Amazonが直接管理しているため、信頼性が非常に高いです。
  • メーカー公式サイト
    各メーカーが運営する直販サイト。100%正規品が手に入ります。

偽物のリスクが非常に高く、避けるべき購入先

  • Amazonマーケットプレイスの不明な出品者:特に新規出品者や評価が著しく低い、または海外の出品者からの購入は非常に危険です。
  • フリマアプリ(メルカリ、ラクマなど):個人間取引のため偽物が非常に多く出回っており、トラブル時の保証も期待できません。
  • ネットオークション(ヤフオク!など):フリマアプリと同様に偽物の温床となっています。
  • 海外の激安ECサイト(AliExpress、Wishなど):価格が異常に安いものは、ほぼ100%偽物と考えて間違いありません。

購入前に知るべき正しい価格相場

偽物USBメモリ、本物USBメモリ、ポータブルSSDの価格相場を値札で比較。2TBで数千円という価格がいかに異常であるかを示し、正しい知識を持つことで容量偽装の危険を回避できることを表す。
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偽物を見分ける最も強力な武器の一つが「価格相場」の知識です。市場の適正価格を知っていれば、異常に安い製品がいかに危険であるかが一目瞭然となります。

製品カテゴリ 容量 価格帯の目安 備考
偽物USBメモリ 2TB (偽装) 約2,000円 〜 6,000円 この価格帯の2TBは全て偽物。購入は絶対NG。
本物USBメモリ 1TB 約15,000円 〜 30,000円 主要メーカー正規品の相場。これが適正価格。
本物ポータブルSSD 2TB 約20,000円 〜 40,000円 2TBが必要な場合の現実的な選択肢。高速で高信頼。

この表から分かる通り、もし本物の2TB USBメモリが存在したとすれば、その価格は1TBモデルよりさらに高価な、少なくとも3万円以上になると予想されます。

数千円という価格は、正規品の1TBモデルの価格と比べてもあまりに不自然です。「安すぎる」と感じたら、それは間違いなく偽物です。

H2testwで容量を確認する方法

タケル
このツール、画面が英語だけど大丈夫かな…?操作が難しそう。
マキ
大丈夫、操作はすごくシンプルだよ!ドライブを選んでボタンを押すだけ。大事なのは、テスト結果を正しく読み解くことなんだ。

購入したUSBメモリが本物か偽物か、その実際の容量を正確に調べるためには専用のチェックツールが必要です。その中でも世界標準として広く使われているのが「H2testw」です。

Windowsのエクスプローラーなどで表示されるプロパティは、偽装された情報をそのまま表示するだけなので全く意味がありません。

H2testwを使った容量チェック手順

  1. データのバックアップとフォーマット
    テストを行うとUSBメモリ内のデータは全て消去されます。必ず事前に重要なデータをバックアップし、USBメモリをフォーマット(クイックフォーマットではない通常フォーマットを推奨)してください。
  2. H2testwのダウンロードと起動
    公式サイトなど信頼できるサイトからH2testwをダウンロードし、解凍して実行します。インストールは不要です。
  3. テストの設定
    言語を「English」に設定し、「Select target」ボタンで使用するUSBメモリのドライブレターを選択します。容量は「all available space」(全領域)が選択されていることを確認します。
  4. テストの実行
    「Write + Verify」ボタンをクリックしてテストを開始します。ドライブの容量と速度に応じて、テストには数時間から数十時間かかる場合があります。
  5. 結果の確認
    テストが完了すると結果が表示されます。この結果で本物か偽物かが明確に判明します。

このテストは時間がかかりますが、ストレージの真の姿を明らかにする最も確実な方法です。「怪しい」と思ったら必ず実施しましょう。

容量チェックツール H2testwとは

容量チェックツールH2testwのテスト結果画面。「DATA LOST」と表示され、2TBが偽装で実際の容量は16GB程度しかないことが判明。偽物のUSBメモリの正体を暴く決定的な証拠となる。
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「H2testw」は、ドイツのコンピューター雑誌社が開発した、ストレージデバイスの信頼性をテストするための無料ソフトウェアです。

H2testwの仕組み

このツールは非常にシンプルな2段階のプロセスで動作します。

1. 書き込み (Write)
まず、テスト対象のドライブの空き領域全体に、ツールが生成した検証用のデータファイル(1GB単位の.h2wファイル)を書き込んでいきます。偽装メモリの場合、物理容量を超えた時点でエラーが発生するか、データが正常に書き込まれなくなります。
2. 照合 (Verify)
次に、書き込んだ全ての検証用ファイルを一つずつ読み出し、元のデータと完全に一致するかどうかをチェックします。偽装メモリの場合、物理容量を超えて書き込まれた(ように見えた)部分はデータが破損しているため、この照合プロセスで大量のエラーが検出されます。

結果の解釈

テスト完了後の結果画面で、全てが分かります。

  • 正常な製品の場合:
    「Test finished without errors.」と表示され、エラーなく完了します。
  • 容量偽装品の場合:
    「The media is likely to be defective.」(メディアに欠陥の可能性があります)と表示され、以下のような詳細情報が示されます。
    XX GByte OK:これは正常に読み書きできた「本当の容量」です。
    XX GByte DATA LOST:これは偽装された領域に書き込まれ、失われた(破損した)データ量です。

この「OK」と表示された容量が、そのUSBメモリが物理的に持つ真の容量ということになります。

偽物を購入した場合の対処法

タケル
うわー、もし偽物を買っちゃったら、もう泣き寝入りするしかないの?
マキ
諦めないで!H2testwの結果みたいな客観的な証拠を揃えれば、Amazonの保証やカード会社経由で返金される可能性は十分あるよ!

万が一、偽物のUSBメモリを購入してしまった場合でも、諦めずに適切な手順を踏むことで返金を受けられる可能性があります。

返金に向けた4ステップ

  1. 証拠を収集する
    まず、偽物であることを証明するための客観的な証拠を集めます。

    • H2testwのテスト結果(エラー画面)のスクリーンショット
    • CrystalDiskMarkなどの速度測定結果のスクリーンショット
    • 商品やパッケージの写真(ロゴや印刷の不鮮明な部分など)
    • 購入サイトの商品ページや注文履歴のスクリーンショット
  2. 販売元(出品者)に連絡する
    購入したECサイトのメッセージ機能などを使い、出品者に連絡します。「容量を偽装した商品である」ことを明確に伝え、収集した証拠を提示して返品・返金を要求します。
  3. ECサイトの運営に申告する
    出品者が返金に応じない、または連絡が取れない場合は、ECサイトの運営に直接問題を報告します。Amazonの「マーケットプレイス保証」や楽天の「あんしんショッピングサービス」など、多くのサイトには購入者保護制度があり、運営側が間に入って返金処理を行ってくれる場合があります。
  4. クレジットカード会社に連絡する
    クレジットカードで支払った場合は、カード会社に連絡し「チャージバック(支払い異議申し立て)」を申請するという最終手段もあります。商品が説明と著しく異なる詐欺商品であることを理由に、支払いの取り消しを求めることができます。

手間はかかりますが、悪質な業者を放置しないためにも、毅然とした対応をとることが重要です。

代替案ならポータブルSSDが最適

ノートパソコンに接続され、高速でデータ転送を行うスタイリッシュなポータブルSSD。2TBの大容量が必要な場合、偽物USBメモリのリスクを避け、信頼性と速度に優れたSSDが最適な代替案となる。
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結論として、2TBという大容量のポータブルストレージが必要な場合、現状ではUSBメモリではなくポータブルSSDを選ぶのが最も賢明で安全な選択です。

ポータブルSSDは、PCの内蔵SSDと同じ技術(NAND型フラッシュメモリ)を使用した外付けストレージで、USBメモリと比較して多くのメリットがあります。

USBメモリとポータブルSSDの比較

  • 速度: 読み書きの速度がUSBメモリとは比較にならないほど高速です。特に大容量ファイルの転送や多数のファイルを扱う際の快適さは圧倒的です。
  • 信頼性・耐久性: 高品質なメモリチップと高度な制御機能により、長期間の使用や頻繁な書き込みに対する耐久性が高く、データの長期保存に適しています。
  • コストパフォーマンス: 近年、価格が大幅に下落しており、2TBモデルが2万円台から購入可能です。偽物のUSBメモリに数千円を払ってデータを失うリスクを考えれば、はるかに安全で確実な投資と言えます。

SanDisk、Samsung、Crucial、KIOXIAなど、USBメモリでも信頼されている多くのメーカーから、高性能な2TBのポータブルSSDが多数販売されています。動画編集の素材置き場や、大量の写真データのバックアップ、ゲームデータの保存など、速度と容量の両方が求められる用途に最適です。

2TBという容量が必要になった時点で、選択肢をUSBメモリからポータブルSSDに切り替えて検討することをお勧めします。

USB メモリ 2TBで本物を探す際の総括

  • 2024年現在、主要メーカーは2TBのUSBメモリを正規販売していない
  • 市場の安価な2TB USBメモリはほぼ全てが容量偽装の偽造品である
  • 偽造品は小容量メモリのファームウェアを改造してPCを騙している
  • 実際の容量を超えて書き込むとデータは上書きされ破壊される
  • データが破損すると専門業者でも復旧はほぼ不可能になる
  • 数千円など市場相場から著しく安い価格の製品は100%偽物
  • パッケージの印刷が不鮮明、本体の作りが安っぽいものは要注意
  • 特に人気ブランドであるサンディスクの偽造品が非常に多い
  • 高評価レビューでも内容が薄いものはサクラレビューの可能性がある
  • 低評価にある「データが消えた」という具体的な被害報告を重視する
  • USB3.0表記でも実際の転送速度はUSB2.0並みに極端に遅い
  • 容量の真偽はH2testwなどの専用チェックツールで確認する
  • 偽物を購入した際は証拠を集めてECサイトやカード会社に相談する
  • 2TBの容量が必要な場合、USBメモリではなくポータブルSSDが最適解
  • 信頼できる製品は家電量販店やAmazon直販など正規ルートで購入する