PCの動作が不安定で、電源ユニットの故障を特定したいと考えていませんか?突然落ちる、焦げ臭い匂いがする、ファンが回らない、謎のビープ音が鳴るといった症状や前兆は、電源の不調が原因かもしれません。この記事では、電源の寿命や原因を理解し、正しい確認方法や診断手順を解説します。
最小構成での起動やマザーボードとの切り分け、テスターの使い方、BIOSやUEFIでの確認方法から、交換や修理の判断基準、新しい電源の選び方、具体的な交換手順、費用相場、専門業者への依頼まで、網羅的にご紹介します。
- 電源ユニット故障を疑うべき具体的な症状
- 自分でできる故障箇所の特定・診断方法
- 電源ユニットの交換手順と適切な選び方
- 交換にかかる費用や業者依頼の判断基準
電源ユニット故障の特定を始める前に知るべき症状
- 電源ユニット故障のサインとなる症状と前兆
- PCが突然落ちるのは電力供給の問題かも
- 焦げ臭い匂いは危険なサイン
- 電源のファンが回らない時のチェック点
- ビープ音で電源トラブルを推測する方法
- 電源ユニット故障の主な原因と寿命について
電源ユニット故障のサインとなる症状と前兆

PCの電源ユニットが故障する前には、いくつかのサインが現れることがあります。これらの前兆を見逃さないことが、被害を最小限に抑える鍵となります。普段と違うPCの挙動に気づいたら、電源ユニットの不調を疑ってみましょう。
主な前兆として、PCの動作が全体的に不安定になることが挙げられます。OSの起動に失敗したり、使用中に突然フリーズしたり、ブルースクリーン(BSoD)が頻発するなどの症状です。特に、ゲームや動画編集といった高い負荷がかかる作業中に挙動がおかしくなる場合は、電力供給が不安定になっている可能性が考えられます。
また、USBデバイスが突然認識されなくなったり、内蔵HDDやSSDが見失われたりする周辺機器の認識不良も注意が必要です。これは、各パーツへ安定した電力を供給できていない証拠かもしれません。
注意すべきその他のサイン
- 異音の発生: 電源ファンからの「カラカラ」音や、コイル鳴きと呼ばれる「キーン」という高周波音。
- 起動に関する問題: 電源ボタンを押しても反応が鈍い、またはPCの電源が完全に落ちない。
これらの症状は他のパーツの故障でも起こり得ますが、複数同時に発生している場合は電源ユニットが原因である可能性が高まります。
PCが突然落ちるのは電力供給の問題かも
作業の途中やゲームのプレイ中にPCが突然シャットダウンしてしまう現象は、電源ユニット故障の典型的な症状の一つです。これは、PCが必要とする電力を電源ユニットが安定して供給できなくなった場合に発生します。
主な原因は、経年劣化による電力供給の不安定化です。電源ユニット内部にはコンデンサという部品があり、これが劣化すると電圧を安定させることができなくなります。特にCPUやグラフィックボードが高負荷状態になると要求電力が増えますが、劣化した電源ユニットではこれに耐えられず、PCを保護するためにシャットダウンしてしまいます。
また、電源ユニットには様々な保護回路が内蔵されています。例えば、接続されているパーツが必要とする電力が供給能力を超えた場合に作動する「過電流保護(OCP)」や、内部温度が異常に高くなった場合に作動する「過熱保護(OTP)」などです。これらの保護回路が作動した場合も、PCは突然落ちることになります。
保護回路が作動する主な原因
- PCパーツの増設による総消費電力の増加
- 電源内部のホコリ詰まりやファン故障による冷却性能の低下
- 接続先パーツのショート(短絡)
突然落ちる症状が頻発する場合は、電力不足や電源ユニットの劣化を強く疑いましょう。
焦げ臭い匂いは危険なサイン

PCから焦げ臭い、あるいは酸っぱいような異臭がした場合、それは非常に危険な状態を示すサインであり、直ちに使用を中止する必要があります。この匂いの発生源は、多くの場合、電源ユニット内部の部品が物理的に破損していることです。
最も一般的な原因は、電解コンデンサの破裂や液漏れです。長期間の使用や高温環境によりコンデンサが寿命を迎えると、内部の電解液が漏れ出したり、破裂したりすることがあります。この電解液が特有の異臭を放つのです。
その他にも、内部に溜まったホコリが熱で焦げたり、基板上の電子部品が過電流で焼損したりすることも匂いの原因となります。
異臭がした場合の対処法
- 直ちにPCの電源ケーブルをコンセントから抜く。
- 内部を開けて、匂いの発生源が電源ユニットか確認する。
- 絶対に再通電せず、速やかに電源ユニットを交換する。
異臭を放置すると、発煙や発火といった火災のリスクが非常に高まります。また、異常な電圧がマザーボードなどの他パーツに流れ、連鎖的な故障を引き起こす可能性もあるため、絶対に見過ごしてはいけません。
電源のファンが回らない時のチェック点
PCの電源を入れても電源ユニットのファンが回らない場合、いくつかの原因が考えられます。故障を判断する前に、まずは原因を切り分けることが重要です。
原因は大きく分けて3つ考えられます。
1. ファンの物理的な故障
モーターの寿命やベアリングの摩耗、あるいはホコリや異物が絡まることでファン自体が動かなくなるケースです。この場合、通電はしていても冷却ができないため、内部温度が上昇し、最終的に過熱保護機能が働いてPCがシャットダウンします。
2. 電源ユニット自体の故障
内部回路が完全に故障し、ファンを回すための電力すら出力されていない状態です。この場合、PCの電源ボタンを押してもファンだけでなく、PC全体が全く反応しません。
3. セミファンレス機能(正常な動作)
近年の電源ユニットに多く搭載されている機能で、PCの負荷が低い(温度や消費電力が低い)状態ではファンを停止させ、静音性を高めるものです。ウェブサイトの閲覧など軽い作業中にはファンが回らず、ゲームなどの高負荷な作業を始めると回転し始めます。
故障かどうかの確認方法
- 高負荷をかける: ゲームやベンチマークソフトを実行し、ファンが回転し始めるか確認します。回転すればセミファンレス機能による正常な動作です。
- 手で回してみる: PCの電源を完全に切り、細い棒などでファンがスムーズに回るか確認します。固着している場合は物理的な故障の可能性が高いです。
ビープ音で電源トラブルを推測する方法

PC起動時に鳴る「ピッ」という短い音や、異常時に鳴る「ピー、ピー」といった連続音をビープ音と呼びます。これはマザーボードが自己診断機能(POST)の結果を知らせるための警告音です。
重要なのは、電源ユニット自体がビープ音を鳴らすことはないという点です。ビープ音はあくまでマザーボードが発しています。しかし、電源ユニットの故障によって他のパーツ(CPUやメモリなど)へ正常に電力が供給されず、結果としてマザーボードが異常を検知してビープ音を鳴らすケースは非常に多いです。
ビープ音のパターンはマザーボードのメーカーやBIOSの種類によって異なりますが、以下のような例があります。
- 長いビープ音の繰り返し: メモリエラーを示すことが多いですが、メモリへの電力供給が不安定な場合にも発生します。
- 短いビープ音の繰り返し: 電源供給系のエラーを示唆している場合があります。
- ビープ音が全く鳴らない: 電源ユニットからマザーボードへ電力が全く供給されていない、最も深刻な状態の可能性があります。
ビープ音の意味を正確に知るためには、お使いのマザーボードの型番を調べ、メーカーの公式サイトやマニュアルでビープコードの一覧を確認するのが最も確実です。これにより、問題が電源にあるのか、それとも他のパーツにあるのかを絞り込む手助けになります。
電源ユニット故障の主な原因と寿命について
電源ユニットは消耗品であり、永久に使えるわけではありません。その寿命を決定づける最も大きな要因は、内部にある電解コンデンサの経年劣化です。
コンデンサは、PCパーツへ安定した電力を供給するために電圧を平滑化する重要な役割を担っています。しかし、内部の電解液が時間と共に乾燥したり変質したりすることで性能が低下していきます。特にPC内部の温度が高い環境では、この劣化が著しく早まります。
寿命を縮めるその他の要因
- ホコリの蓄積: 内部にホコリが溜まると放熱効率が悪化し、内部温度が上昇。部品の劣化を促進します。
- 過度な負荷: 電源容量ギリギリの状態で長時間使い続けると、部品への負担が大きくなります。
- 不安定な電源環境: 雷サージや頻繁な瞬断などもダメージの原因となります。
電源ユニットの平均的な寿命は、製品の品質や使用環境によって大きく異なります。
- 一般的なモデル: 3年~5年程度(製品保証期間が目安)
- 高品質なモデル: 7年~10年以上(長期保証が付いていることが多い)
24時間稼働させるなど、使用時間が長ければその分寿命は短くなる傾向にあります。高品質な製品は、日本製の105℃対応コンデンサなど、耐久性の高い部品を使用しているため長寿命が期待できます。
実践!電源ユニット故障の特定方法と交換ガイド
- 電源ユニット故障の具体的な確認方法と診断手順
- 最小構成での起動テストによる原因切り分け
- 難しいマザーボードとの故障切り分け方法
- 電源テスターの正しい使い方とチェック項目
- BIOS・UEFIで電圧を確認する簡易診断
- 電源ユニットの交換と修理の基本方針
- 交換用電源ユニットの正しい選び方
- 初心者でもわかる電源ユニットの交換手順
- 電源交換にかかる費用相場はどのくらい?
- 難しい場合は専門業者への依頼も検討
- 迷わないための電源ユニット故障の特定まとめ
電源ユニット故障の具体的な確認方法と診断手順

電源ユニットの故障が疑われる場合、やみくもにパーツを交換するのではなく、順を追って診断していくことが大切です。簡単な確認から専門的なテストまで、段階的に進めていきましょう。
診断の基本ステップ
- 五感による確認: まずは目で見て、耳で聞き、鼻で嗅ぐことから始めます。ケースを開けて、コンデンサの膨らみや液漏れ、基板の焼損跡(目視)、ファンの異音(聴覚)、焦げ臭い匂い(嗅覚)がないかを確認します。
- 最小構成での起動テスト: 他のパーツが原因である可能性を排除するため、必要最小限の構成で起動を試みます。
- BIOS/UEFIでの電圧確認: PCが起動できる場合は、BIOS画面で簡易的に各部の電圧をチェックします。
- 電源テスターによる測定: 専用のテスターを使い、各出力電圧が規格の範囲内にあるか正確に測定します。
- 代替電源での動作確認: 正常な別の電源ユニットに交換してPCが動作するか試す、最も確実な方法です。
これらのステップを順に行うことで、原因が本当に電源ユニットにあるのか、それとも別のパーツにあるのかを高い確度で特定できます。特に、五感による確認で明らかな異常(コンデンサの膨張や異臭)が見つかった場合は、その時点で電源ユニットの故障と断定して交換に進みましょう。
最小構成での起動テストによる原因切り分け
「最小構成での起動」は、PCの不調原因を切り分けるための非常に有効な診断手法です。多くのパーツが接続された状態では、どこが故障しているのか特定が困難です。そこで、PCの動作に必要最低限のパーツだけを接続して起動を試みることで、問題の箇所を絞り込みます。
最小構成でも起動しない場合、原因は電源ユニット、マザーボード、CPUのいずれかである可能性が非常に高くなります。
最小構成のパーツ
- 必須: 電源ユニット、マザーボード、CPU(CPUクーラー含む)、メモリ(1枚のみ)
- オプション: ビープスピーカー(エラー音の確認用)、グラフィックボード(CPUに内蔵グラフィックス機能がない場合)
手順の概要
- PCの電源ケーブルを抜き、安全を確保します。
- マザーボードからストレージ(HDD/SSD)、グラフィックボード、メモリ(1枚を除く)、USBやオーディオ等のケーブルをすべて取り外します。
- 電源ユニットからマザーボードへのメイン電源(24ピン)とCPU補助電源(4/8ピン)のみを接続します。
- この状態で電源を入れ、BIOS/UEFI画面が表示されるか、または正常なビープ音が鳴るかを確認します。
もしこの最小構成でPCが起動した場合、取り外したパーツのいずれかが故障の原因であると推測できます。一つずつパーツを元に戻しながら、どのパーツを接続したときに問題が再発するかを確認していきましょう。
難しいマザーボードとの故障切り分け方法

電源ユニットとマザーボードの故障症状は非常によく似ており、「電源が入らない」「突然落ちる」といった現象はどちらが原因でも起こり得るため、切り分けは非常に難しい作業です。
最も確実な方法は、正常に動作することがわかっている代替パーツ(検証用パーツ)を使用することです。
- 代替電源を使ってみる: 正常な電源ユニットを用意し、現在のPCに接続します。これでPCが起動すれば、元の電源ユニットの故障が確定します。症状が変わらなければ、マザーボード側の故障である可能性が高まります。
故障が疑われる電源ユニットを、別の正常なPCに接続してテストする方法もありますが、万が一その電源が異常な電圧を出力していた場合、接続したPCのパーツまで巻き込んで壊してしまうリスクがあるため推奨されません。
代替パーツが用意できない場合の簡易的なテストとして「電源ユニット単体での起動テスト(短絡テスト)」があります。これは電源の24ピンコネクタの特定のピンをクリップなどでショートさせ、ファンが回るかを確認する方法です。ただし、これはあくまで通電しているかを確認するだけで、負荷がかかった際の安定性までは保証できません。また、ピンを間違えると非常に危険なため、経験者以外は避けるのが無難です。
電源テスターの正しい使い方とチェック項目
「電源テスター」は、PC用電源ユニットの各出力電圧が正常かどうかを簡単に測定できる専用の機器です。これを使えば、感覚ではなく数値で電源の状態を正確に診断できます。
テスターの基本的な使い方
- PCの電源を完全に落とし、電源ユニットから全てのケーブルをパーツから抜きます。
- テスターに、電源ユニットのメイン24ピンコネクタとCPU補助電源コネクタを接続します。
- 電源ユニットの電源ケーブルをコンセントに差し込み、主電源スイッチをONにします。
- テスターの液晶ディスプレイに各電圧値が表示されるので、正常範囲内か確認します。
チェックすべき重要なポイントは、主要な電圧(+12V, +5V, +3.3V)がATX規格の許容誤差±5%以内に収まっているかどうかです。
| 電圧 | 許容範囲 (誤差±5%) | 主な役割 |
|---|---|---|
| +12V | 11.40V ~ 12.60V | CPU, グラフィックボードなど高負荷パーツ |
| +5V | 4.75V ~ 5.25V | ストレージ (SSD/HDD), USBポート |
| +3.3V | 3.135V ~ 3.465V | メモリ, M.2 SSD |
この範囲を外れている電圧がある場合、その電源ユニットは故障していると判断できます。また、PG(Power Good)シグナルの値も重要です。これはPCが安定して動作するための信号で、正常値は100ms~500msです。この値が異常な場合もPCは正常に起動しません。
BIOS・UEFIで電圧を確認する簡易診断

PCが最低でもBIOS/UEFI画面まで起動できる場合は、OSを起動せずにハードウェアの状態を確認できるメニューを利用した簡易診断が可能です。
BIOS/UEFIのセットアップ画面には、「PC Health Status」や「Hardware Monitor」といった項目があり、ここで電源ユニットから供給されている+12V, +5V, +3.3Vの現在の電圧値を確認できます。
確認手順
- PCの電源を入れ、起動直後(メーカーロゴ表示中)に指定されたキー(多くは[Delete]キーや[F2]キー)を連打します。
- BIOS/UEFI画面に入ったら、メニューから「Hardware Monitor」などの項目を探して選択します。
- 表示された電圧リストの値が、前述の正常範囲内にあるかを確認します。
この方法の注意点と限界
- 簡易的な測定: マザーボード上のセンサーによるソフトウェア測定のため、専用テスターに比べて精度は劣ります。
- 無負荷時の値: あくまでOSが起動していない低負荷状態での電圧です。高負荷時に電圧が不安定になるタイプの故障はこの方法では検知できません。
- 起動できることが前提: 全く電源が入らない場合はこの方法は使えません。
とはいえ、表示された電圧が正常範囲から明らかに逸脱している場合は、電源ユニットの故障を強く疑う根拠となります。あくまで「目安」として活用しましょう。
電源ユニットの交換と修理の基本方針
電源ユニットの故障が特定された場合、その対処法は基本的に「修理」ではなく「交換」となります。
ユーザーが自分で電源ユニットを修理することは、原則として非推奨であり、ほぼ不可能です。その理由は以下の通りです。
- 感電の危険性: 内部には電源を切った後も高電圧を蓄えたコンデンサがあり、触れると重篤な感電事故につながる恐れがあります。
- 専門知識と機材が必要: 回路の理解やはんだ付け技術、測定機器など、専門的な知識と道具がなければ修理はできません。
- 部品の入手が困難: 故障した電子部品と全く同じものを個人で入手するのは非常に難しいです。
メーカーや専門業者による修理も、新品を一つ購入するより高額になることがほとんどのため、一般的には行われません。
したがって、電源ユニットが故障したら、安全かつ確実な新品への交換が唯一の選択肢と考えるのが基本です。
もし購入してから日が浅く、メーカーの保証期間内である場合は、購入店やメーカーサポートに連絡し、無償修理または新品交換の対応を依頼しましょう。
交換用電源ユニットの正しい選び方

新しい電源ユニットを選ぶ際には、いくつかの重要なポイントを確認する必要があります。これらを間違えると、PCケースに収まらなかったり、パーツを動かせなかったりする可能性があるため注意しましょう。
1. フォームファクタ(サイズ・規格)
PCケースに適合するサイズを選びます。最も一般的なのは「ATX」ですが、小型PCの場合は「SFX」などのコンパクトな規格が使われています。現在使用している電源の規格を必ず確認してください。
2. 電源容量(ワット数)
PC全体の総消費電力よりも余裕のある容量を選ぶことが重要です。電力計算サイトで自分のPC構成を入力して、必要なワット数を確認するのが確実です。
| PCの用途 | 電源容量の目安 |
|---|---|
| 事務・インターネット閲覧 | 300W~500W |
| ミドルレンジのゲーミングPC | 550W~750W |
| ハイエンドPC・クリエイターPC | 750W~1200W以上 |
3. 80 PLUS 認証(変換効率)
電力の変換効率を示す認証で、ランクが高いほど省エネで発熱が少なくなります。一般的には「Bronze」以上、コストと性能のバランスが良い「Gold」が人気です。
4. コネクタの種類と数
グラフィックボード用の補助電源コネクタ(PCIe 6+2ピン)の数や、SSD/HDD用のSATA電源コネクタの数など、自分のパーツ構成に必要なコネクタが揃っているか確認しましょう。
5. ケーブルのタイプ
全てのケーブルが着脱可能な「フルモジュラー式」は、配線がしやすくケース内がすっきりするためおすすめです。
初心者でもわかる電源ユニットの交換手順
電源ユニットの交換は、手順さえ守れば初心者でも比較的安全に行うことができます。焦らず慎重に作業を進めましょう。
交換作業のステップ
- 安全確保
PCをシャットダウンし、壁のコンセントから電源ケーブルを抜きます。PC本体の電源ボタンを数回押して内部の電力を放電させます。 - ケースを開ける
PCケースのサイドパネルを取り外します。 - 古い電源のケーブルを抜く
全てのパーツ(マザーボード、グラボ、SSDなど)から電源ケーブルを抜きます。コネクタの爪を押しながら慎重に引き抜きましょう。 - 古い電源ユニットを取り外す
PCケース背面の4本のネジを外し、電源ユニット本体をケースから取り出します。 - 新しい電源ユニットを設置する
逆の手順で新しい電源ユニットを設置し、ネジで固定します。 - 新しい電源のケーブルを接続する
マザーボード、CPU、グラボ、SSDなどの順に、必要なケーブルを接続していきます。 - ケーブル管理
余ったケーブルはケースの裏配線スペースなどを利用してまとめ、空気の流れを妨げないようにします。 - 最終確認と起動テスト
全てのケーブルがしっかり接続されていることを確認し、サイドパネルを閉めてから電源を入れ、正常に起動するかテストします。
電源交換にかかる費用相場はどのくらい?

電源ユニットの交換にかかる費用は、自分で行うか、専門業者に依頼するかで大きく変わります。また、選ぶ電源ユニットの性能によっても価格は変動します。
部品代(電源ユニット本体の価格)
電源ユニットの価格は、容量と80 PLUS認証のランクによって決まるのが一般的です。
- 500W~650Wクラス (Bronze認証): 5,000円 ~ 9,000円程度。一般的なPC向け。
- 650W~850Wクラス (Gold認証): 10,000円 ~ 20,000円程度。ゲーミングPCで最も一般的な価格帯。
- 850W以上 (Gold/Platinum認証): 20,000円 ~ 40,000円以上。ハイエンドPC向け。
工賃(業者に依頼した場合の技術料)
PC専門店や修理業者に交換を依頼した場合、部品代に加えて作業工賃が発生します。
- 診断料: 3,000円 ~ 5,000円程度
- 交換作業料: 5,000円 ~ 15,000円程度
診断の結果、修理を依頼する場合は診断料が工賃に含まれることが多いです。
結果として、業者に依頼した場合の総額の目安は、一般的なPCで15,000円~30,000円程度となることが多いです。自分で交換すれば部品代だけで済みますが、時間や手間、作業リスクを考慮して判断しましょう。
難しい場合は専門業者への依頼も検討
PCのパーツ交換に慣れていない方や、自分で原因を特定する自信がない場合は、無理をせず専門業者に依頼するのが賢明な選択です。
業者に依頼するメリット
- 確実な診断: 専門機材を使って、本当に電源ユニットが原因なのかを正確に診断してくれます。
- 適切な部品選定: PC構成に最適な電源ユニットを選んでくれるため、パーツ選びで失敗しません。
- 安全・確実な作業: 感電や他のパーツを破損させるリスクなく、安全に交換作業を任せられます。
- 時間の節約: 自分で調べて作業する手間と時間を大幅に節約できます。
- 作業保証: 多くの場合、作業後の保証が付いているため安心です。
「自分で原因を特定できなかった」「作業中に他のパーツを壊してしまいそうで怖い」といった場合は、迷わずプロに相談しましょう。ドスパラやパソコン工房といったPC専門店や、地域のPC修理業者が対応してくれます。依頼する際は、事前に見積もりを取り、料金体系が明確な信頼できる業者を選ぶことが大切です。
迷わないための電源ユニット故障の特定まとめ
PCの心臓部である電源ユニットの故障は、様々なトラブルを引き起こします。この記事で解説したポイントを押さえ、冷静に対処することが重要です。最後に、電源ユニット故障の特定と対処法に関する要点をまとめます。
- 電源故障の前兆には動作不安定、フリーズ、周辺機器の認識不良などがある
- PCが突然落ちる現象は電力供給の不安定化や保護回路の作動が原因
- 焦げ臭い匂いはコンデンサ破裂の可能性があり、直ちに電源を抜くべき
- ファンが回らない場合、故障だけでなくセミファンレス機能の可能性も考慮する
- ビープ音はマザーボードからの信号だが、電源異常が引き金になることが多い
- 電源の寿命はコンデンサの劣化が主な原因で、使用環境に大きく左右される
- 故障診断は五感による確認から始め、コンデンサの膨張や異臭をチェック
- 最小構成での起動テストは、原因が電源か他のパーツかを切り分けるのに有効
- マザーボードとの切り分けには、正常な代替電源で試すのが最も確実
- 電源テスターを使えば、出力電圧が規格の範囲内にあるか数値で確認できる
- BIOSやUEFIでの電圧確認は、起動できる場合の簡易的な診断方法として使える
- 電源ユニットは修理せず、新品に交換するのが基本的な対処法
- 新しい電源を選ぶ際は、規格サイズ、容量、効率、コネクタの種類を確認する
- 交換作業は安全確保を最優先し、ケーブルの接続場所を覚えておくことがコツ
- 交換費用は部品代と工賃からなり、業者に頼むと1.5万円から3万円が相場
- 自信がない場合や原因が特定できない場合は、無理せず専門業者に依頼する