お気に入りのゲーミングPC、せっかくならケース内もカッコよく飾りたいですよね。そんな時、好きなキャラクターのフィギュアを置きたくなる気持ち、すごくよくわかります。でも、「PCケースにフィギュアを入れると熱で溶けるんじゃない?」「変形や劣化が心配…」という声もよく耳にします。
実際に、フィギュアの材質や素材によっては、PC内部の温度で溶ける原因になることも。特に一般的なフィギュアに使われるPVCやABSの耐熱温度を知っておくことは重要です。この記事では、フィギュアが溶けるのを防ぐための熱対策や、おすすめの置き場所について詳しく解説します。
さらに、フィギュアスタンドを使った固定方法や、アクリルスタンド、ガンプラ、ねんどろいどを飾る際の注意点も紹介。可塑剤によるべたつき問題や、エアフローを意識した冷却方法まで、あなたのPCライフをより楽しむための情報をお届けします。
- フィギュアが溶ける原因とPCケース内の実際の温度
- フィギュアの材質ごとの耐熱温度と注意すべき点
- 熱による劣化からフィギュアを守るための具体的な対策と置き場所
- フィギュアを安全かつ魅力的に飾るための便利グッズやアイデア
PCケースのフィギュアが溶ける原因と仕組み
- フィギュアが溶ける・変形・劣化する原因とは?
- フィギュアの耐熱温度は?材質・素材ごとの違い
- PVCやABS素材のフィギュアが溶ける温度
- 可塑剤による「べたつき」にも注意が必要
- PCケース内の温度はどれくらい?
- アクリルスタンドやガンプラ、ねんどろいどは大丈夫?
フィギュアが溶ける・変形・劣化する原因とは?

PCケース内に飾ったフィギュアが溶けたり変形したりする一番の原因は、ずばり「熱」です。特にゲーミングPCは、高性能なCPUやグラフィックボード(グラボ)を搭載しているため、ゲームのプレイ中など高い負荷がかかるとかなりの熱を発します。
この熱がケース内にこもり、フィギュアに直接伝わることで、素材が柔らかくなってしまい、重さに耐えきれず傾いたり、細かいパーツが変形したりする可能性があります。特に、熱を直接排出するグラボの真上や、CPUクーラーの近くは高温になりやすい危険なゾーンです。
また、熱は「溶ける」「変形する」といった直接的なダメージだけでなく、長期間さらされることで塗装の色褪せや、後述する「べたつき」といった劣化を早める原因にもなります。お気に入りのフィギュアを長く楽しむためにも、まずはこの「熱」が一番の敵だと覚えておきましょう。
フィギュアの耐熱温度は?材質・素材ごとの違い
フィギュアと一口に言っても、使われている材質はさまざまで、それぞれ熱に対する強さが異なります。自分の持っているフィギュアがどの素材でできているかを知っておくと、対策がしやすくなりますよ。
多くの市販フィギュアで使われているのが「PVC(ポリ塩化ビニル)」や「ABS」といったプラスチックです。これらは加工しやすく、フィギュアの複雑な造形を再現するのに適していますが、熱にはあまり強くありません。
他にもガレージキットなどで使われる「ポリレジン」や、アクリルスタンドの「アクリル」など、それぞれに特性があります。主な材質の耐熱温度の目安を下の表にまとめてみました。
材質・素材 | 主な用途 | 耐熱温度の目安 |
---|---|---|
PVC (ポリ塩化ビニル) | 市販フィギュア、ねんどろいど | 約65℃~85℃ |
ABS | フィギュアの関節パーツ、ガンプラ | 約70℃~100℃ |
ポリレジン | スタチュー、ガレージキット | 約70℃~80℃ |
アクリル | アクリルスタンド、ケース | 約70℃~90℃ |
このように、多くの素材は70℃前後から変形のリスクが出てきます。PCケース内が常にこの温度になるわけではありませんが、パーツのすぐ近くではこの温度に近づく可能性もゼロではない、と考えておいたほうが安心です。
PVCやABS素材のフィギュアが溶ける温度

前述の通り、一般的なフィギュアに最も多く使われているのが「PVC」と「ABS」です。もう少し詳しく見ていくと、PVCの耐熱温度はだいたい65℃から85℃くらい、ABSは70℃から100℃くらいが目安と言われています。
これは、これらの素材が「熱可塑性樹脂」といって、熱を加えると柔らかくなり、冷やすと固まる性質を持っているためです。ドライヤーの熱で少し曲げてポーズを変える、なんて改造ができるのもこの性質のおかげですね。
つまり、PCケース内の温度が65℃を超えてくるような環境に長時間置かれていると、フィギュアがぐにゃりと曲がってしまうリスクがあるということです。特に、髪の毛の先や衣装の裾など、細くて繊細なパーツは自重で垂れ下がってきやすいので注意が必要です。ABSはPVCより少し熱に強いですが、それでも油断はできません。大切なフィギュアを守るには、この温度に達しないような工夫が大切になってきます。
可塑剤による「べたつき」にも注意が必要
熱によるフィギュアの劣化は、溶けたり変形したりするだけではありません。もう一つ、とても厄介な現象として「べたつき」があります。これは、フィギュアの素材であるPVCを柔らかくするために混ぜられている「可塑剤(かそざい)」という油のような成分が原因です。
この可塑剤は、時間が経つにつれて少しずつ気化していくのですが、高温の環境に置かれるとそのスピードが速まります。そして、気化した可塑剤がフィギュアの表面に染み出してきて、あの独特のべたつきを生み出すのです。
べたつきは見た目が悪くなるだけでなく、ホコリやゴミが付着しやすくなるという問題も引き起こします。一度べたついてしまうと、元に戻すのはなかなか大変です。PCケース内は熱がこもりやすいため、このべたつきが発生しやすい環境と言えます。直接的な変形がなくても、じわじわとフィギュアのコンディションを悪化させる静かな敵、それが可塑剤によるべたつきなのです。
PCケース内の温度はどれくらい?

「じゃあ、実際にPCケースの中って何度くらいになるの?」と気になりますよね。これはPCのスペックや冷却性能、そしてどこを測るかによって大きく変わってきます。
ある検証動画では、高負荷なベンチマークソフトを動かしている最中の温度を計測していました。それによると、グラボの真上(バックプレート)で46℃~50℃くらい、ケース前面の吸気ファンあたりでは30℃程度だったようです。
つまり、フィギュアがすぐに溶け出すような70℃や80℃といった高温になることは、通常の使用ではまずないと考えてよいでしょう。PCパーツ自体はそれ以上の温度になりますが、ケース内の「空気」の温度はそこまで上がりません。もしケース内が70℃になるようなら、それはフィギュアより先にPCの心配をしたほうがいいレベルです。
ただし、これはあくまで一例です。エアフロー(空気の流れ)が悪いケースだったり、ホコリが詰まっていて熱がこもりやすくなっていたりすると、局所的にもっと温度が上がる可能性はあります。油断せずに、自分のPC環境をしっかり把握することが大切です。
アクリルスタンドやガンプラ、ねんどろいどは大丈夫?

フィギュア以外にも、アクリルスタンド(アクスタ)やガンプラ、ねんどろいどを飾りたい、という方も多いと思います。これらのアイテムも基本的には熱への注意が必要です。
アクリルスタンドの素材であるアクリルの耐熱温度は80℃前後。PVCよりは少し強いですが、やはり熱源の近くは避けるべきでしょう。特に薄い板状なので、熱で反りかえってしまう可能性があります。
ガンプラの主な素材はPS(ポリスチレン)やABSで、これも熱には強くありません。特にABSは関節部分などによく使われていますね。塗装している場合は、熱で塗膜が劣化してしまうことも考えられます。
デフォルメフィギュアの代表格であるねんどろいどは、主な素材がPVCとABSです。そのため、これまで説明してきたスケールフィギュアと全く同じ注意が必要になります。むしろ、頭が大きくて重心が高いデザインなので、足元が熱で柔らかくなると倒れやすいかもしれません。どのアイテムを飾るにしても、「熱から遠ざける」という基本原則は同じですね。
PCケースでフィギュアが溶けるのを防ぐ対策
- おすすめのフィギュアの置き場所はどこ?
- エアフロー改善や冷却で熱対策をしよう
- フィギュアスタンドでの固定や回転台の活用法
- 魅せるPCに!ホログラムという選択肢
- 設置のメリットとデメリットを理解しよう
おすすめのフィギュアの置き場所はどこ?

PCケース内でフィギュアを安全に飾るには、置き場所が最も重要です。熱の影響を最小限に抑えられるベストポジションはどこなのでしょうか。
一番のおすすめは、「ケース前面の吸気ファン周辺」です。ここはPCケースが外の冷たい空気を取り込む場所なので、PC内部で発生した熱の影響をほとんど受けません。まさに一等地と言えるでしょう。広いスペースがあるPCケースなら、ぜひ検討してみてください。
次におすすめなのが、「グラボの下のスペース」です。熱い空気は上に行く性質があるので、グラボが発する熱も主に上方向に排出されます。そのため、グラボの下側は比較的涼しいエリアになります。電源ユニットのカバー(シュラウド)の上などが該当しますね。
逆に、最も避けるべきなのは「グラボの真上」です。特にバックプレートがあるグラボは、そのプレート自体が熱くなるため、フィギュアの台座が直接温められてしまいます。見た目は映える場所なのですが、大切なフィギュアを置くのはリスクが高いと言わざるを得ません。
エアフロー改善や冷却で熱対策をしよう

フィギュアを安全な場所に置くと同時に、PCケース全体の熱対策を見直すことも非常に効果的です。これはフィギュアを守るだけでなく、PCパーツのパフォーマンス維持や長寿命化にも繋がります。
まず基本となるのが「エアフロー」、つまりケース内の空気の流れを良くすることです。PCケースは、前面から冷たい空気を吸い込み、背面や天面から温かい空気を排出するのが一般的。この流れをスムーズにして、熱が特定の場所にこもらないようにすることが大切です。
具体的には、ケースファンを増設して空気の循環を強力にしたり、ごちゃごちゃしたケーブルを裏面にまとめる「裏配線」で空気の通り道を確保したりする方法があります。また、ファンやフィルターに溜まったホコリは冷却性能を大きく下げる原因になるので、定期的な掃除も欠かせません。フィギュアを置くことでファンの風を大きく妨げてしまわないか、という点にも少しだけ気を配るとより安心ですね。
フィギュアスタンドでの固定や回転台の活用法

フィギュアをPCケース内にただ置くだけでなく、専用のスタンドを使うことで、より安全かつ見栄え良くディスプレイすることができます。特に便利なのが、PCパーツメーカーから発売されている「PC用フィギュアディスプレイ台」です。
これは、ケースファンの取り付けネジ穴を利用して固定するタイプの台座で、宙に浮いたような形でフィギュアを設置できるのが特徴です。例えば、ケース前面のファン部分に取り付ければ、前述したベストポジションである「吸気ファンの近く」に安定して飾ることが可能になります。熱源から物理的に距離を取れるのが大きなメリットですね。製品には、フィギュアを固定するための両面テープが付属していることもあり、PCの振動で倒れる心配も減らせます。
少し上級者向けですが、USB電源で動く小さな回転台を中に仕込んで、フィギュアを回してみるという面白いアイデアもあります。配線の処理やスペースの確保など課題はありますが、自分だけの特別なPCを作りたい方には夢のある選択肢かもしれません。
魅せるPCに!ホログラムという選択肢

フィギュアを飾りたいけれど、熱による劣化のリスクはどうしても避けたい…という方には、少し変わった選択肢として「ホログラム」という方法もあります。これはフィギュアの実物を置くのではなく、映像をPCケース内に浮かび上がらせる技術です。
専門の装置は高価ですが、実はDIYで自作することも可能です。ある動画では、古い液晶モニターを分解し、透明なアクリル板などに映像を反射させることで、キャラクターが空中に立体的に浮かんでいるように見せる装置を作っていました。
もちろん、電子工作の知識が必要で難易度は高いですが、成功すれば熱の問題とは無縁で、非常に近未来的でユニークなPCを作ることができます。フィギュアそのものを置くのとはまた違った魅力があり、見る人を驚かせること間違いなしです。「物理的に置く」という発想から一歩進んで、映像で「魅せる」というのも面白いアプローチではないでしょうか。
設置のメリットとデメリットを理解しよう

最後に、PCケース内にフィギュアを飾ることのメリットとデメリットをまとめておきましょう。これらをしっかり理解した上で、自己責任で楽しむことが大切です。
■メリット
- 自分だけのオリジナルなPCが作れる
- 常に好きなキャラクターが見られてモチベーションが上がる
- PCへの愛着がさらに増す
■デメリット
- 熱によるフィギュアの変形・劣化・べたつきのリスクがある
- フィギュアがエアフローを妨げ、PCの冷却性能が下がる可能性がある
- ホコリが溜まりやすく、掃除が大変になる
- PCの振動でフィギュアが倒れたり、パーツと干渉したりする危険性がある
このように、魅力的なドレスアップである一方、いくつかのリスクも伴います。特に大切なフィギュアを飾る場合は、こまめに状態をチェックしてあげてください。これらの点をすべて承知の上で、「それでも飾りたい!」という情熱があるなら、ぜひ挑戦してみる価値はあるでしょう。
PCケースのフィギュアが溶ける問題のまとめ
- PCケース内にフィギュアを飾るときの主な敵は「熱」である
- フィギュアが溶ける・変形する原因はPCパーツの発熱
- 一般的なフィギュアの耐熱温度は65℃~85℃程度
- PCケース内の空気の温度は通常、即座に溶けるほど高くはならない
- ただし局所的に50℃前後になることはあり、長時間の exposure は危険
- 熱は変形だけでなく、塗装の劣化や「べたつき」も引き起こす
- べたつきの原因は、素材に含まれる可塑剤が表面に染み出すこと
- 最も安全な置き場所は、外気を取り込むケース前面の吸気ファン周辺
- グラボの真下も比較的安全なスペースである
- 最も避けるべき場所は、熱を直接発するグラボの真上
- アクリルスタンドやガンプラ、ねんどろいども熱には注意が必要
- ケース内のエアフローを改善することは有効な熱対策になる
- 定期的なホコリ掃除はフィギュアとPCの両方を守る
- ファン穴に固定する専用のフィギュアスタンドも便利
- 最終的に、PCケース内にフィギュアを飾る際は自己責任で行うこと