パソコンの電源ランプは点灯しているのに、画面が真っ暗で何も表示されないというトラブルに直面していませんか?この状況は突然起こることが多く、仕事や作業が中断してしまうため非常に困るものです。しかし、焦らずに一つずつ原因を探っていくことで、自力で解決できるケースも少なくありません。
この記事では、まずパソコンの画面が真っ暗で電源がついてる状態の主な原因を解説します。単純な入力切替のミスやケーブルの接続不良、ディスプレイの明るさがゼロになっているといった見落としがちな点から、スリープが解除できない時の方法、そして緊急時の強制再起動の方法まで、初心者でも試せる手順を網羅しています。
さらに、グラフィックドライバをリセットするショートカットキーの活用法や、パソコンに帯電した電気を放電・リセットする方法、周辺機器が与える影響についても詳しく説明します。外部モニターへの接続や切り替えによる問題の切り分け方、画面に矢印だけ表示されてマウスは動く場合の対処法も紹介。
深刻なケースとして、メモリの接触不良で画面が映らず起動しない、BIOSが起動せず画面が映らないといったハードウェアの故障の可能性にも触れ、グラフィックボードやディスプレイの故障の見分け方を解説します。
最終的に修理が必要になった場合でも、慌てずに行動できるよう、修理の見積もりを取る際のポイントや最も重要なデータ保護の方法まで、この問題に関するあらゆる情報を網羅した完全ガイドです。
- 自分でできる原因の特定と基本的な切り分け手順
- ソフトウェアが原因のトラブルを解決する具体的な方法
- ハードウェア故障が疑われる症状とその見分け方
- 修理を依頼する前に必ず行うべきデータ保護の重要性
パソコン画面が真っ暗で電源ついてる時の原因特定
- パソコン画面真っ暗で電源ついてる原因とは
- 入力切替ミスやケーブル接続不良・明るさゼロ
- スリープモードから復帰しない時の解除方法
- 画面が映らない時の強制再起動の方法
- グラフィックドライバのリセットショートカットキー
- 矢印だけ表示されマウスは動く時の対処法
パソコン画面真っ暗で電源ついてる原因とは

パソコンの電源ランプはついているのに画面が真っ暗になる症状は、一つの原因に絞り込むのが難しい問題です。原因は、ソフトウェアの問題からハードウェアの物理的な故障まで多岐にわたります。まずは簡単な確認から始め、段階的に原因を絞り込んでいくことが解決への近道です。
主な原因は以下のカテゴリーに分類できます。
- ディスプレイ・ケーブル関連の問題: 接続不良や設定ミスなど、比較的簡単に対処できることが多いです。
- OS・ドライバ関連の問題: WindowsなどのOSや、画面表示を制御するドライバの不具合です。
- ハードウェアの不具合: メモリやグラフィックボード、マザーボードといった内部パーツの故障です。
以下の表は、症状と想定される原因をまとめたものです。ご自身の状況と照らし合わせてみてください。
症状の例 | 主な原因の可能性 | 関連する見出し |
---|---|---|
外部モニターには映る | 内蔵ディスプレイ、または接続ケーブルの故障 | 外部モニターへの接続で原因を切り分ける |
マウスカーソル(矢印)だけ表示される | OSのシステムファイル(Explorer)やドライバの不具合 | 矢印だけ表示されマウスは動く時の対処法 |
メーカーロゴすら表示されない | メモリ、マザーボード、GPUなどハードウェアの重篤な故障 | BIOSが起動せず画面が映らない時の確認点 |
スリープから復帰しようとしたら真っ暗になった | 電源管理設定やドライバの不具合、帯電 | スリープモードから復帰しない時の解除方法 |
入力切替ミスやケーブル接続不良・明るさゼロ

パソコンの画面が映らない時、最初に疑うべきは故障ではなく、単純な設定ミスや接続の問題です。<_sp_an class=”marker-halfRed”>意外なほど多くの方がこれらの基本的な点を見落としています。専門家に見せる前に、以下の項目を必ず確認してください。
チェックリスト
- モニターの入力切替: モニター本体の「入力切替」や「Source」ボタンを押し、パソコンが接続されているポート(HDMI 1, DisplayPortなど)が正しく選択されているか確認します。
- ケーブルの接続: パソコン側とモニター側のケーブルが両方ともしっかりと挿さっているか確認します。一度抜いてから、奥までしっかりと挿し直してみてください。別のケーブルがあれば、交換して試すのが最も確実です。
- ディスプレイの明るさ設定: ノートパソコンの場合、「Fn」キーを押しながら太陽のマーク(☀)がついたキーを押し、画面の明るさが最小(ゼロ)になっていないか確認します。デスクトップの場合は、モニター本体のメニューから明るさ設定を確認しましょう。
- Windowsの出力設定: キーボードの「Windowsキー」+「P」を同時に押してみてください。画面が見えなくても、この操作で出力先を切り替えることができます。何度か押して「PC画面のみ」や「複製」に設定が切り替われば、画面が表示される可能性があります。
これらの確認は数分で完了します。特にケーブルの接触不良は、少し動かしただけで発生することもあるため、念入りにチェックすることが重要です。
スリープモードから復帰しない時の解除方法

作業を中断するためにパソコンをスリープ状態にした後、マウスやキーボードを操作しても画面が真っ暗なまま復帰しないことがあります。これは「スリープ死」とも呼ばれる状態で、いくつかの原因が考えられます。
主な解除方法と設定確認
まずは基本的な解除方法を試してみましょう。
- マウスのクリックやキーボードのキーを押す: 基本的な復帰操作です。反応がない場合は次に進みます。
- 電源ボタンを短く1回押す: スリープと復帰を切り替える操作です。長押しすると強制終了になるため、軽く押すのがポイントです。
- ノートパソコンの蓋を一度閉じて、再度開ける: これが復帰のトリガーになる機種もあります。
これらの操作で復帰しない場合、Windowsの電源設定が影響している可能性があります。
デバイスによるスリープ解除の許可設定
通常、マウスやキーボードの操作でスリープが解除されるのは、OS上でその設定が有効になっているためです。何らかの理由でこの設定が無効になっていると、電源ボタンでしか復帰できなくなることがあります。画面が正常に表示された際に、以下の手順で設定を確認しておくことをお勧めします。
- 「デバイスマネージャー」を開く。
- 「キーボード」や「マウスとそのほかのポインティングデバイス」を展開する。
- 使用しているデバイスを右クリックし、「プロパティ」を選択。
- 「電源の管理」タブを開き、「このデバイスで、コンピューターのスリープ状態を解除できるようにする」にチェックが入っているか確認します。
それでも復帰できない場合は、後述する「放電」を試すことで解決することがあります。
画面が映らない時の強制再起動の方法

何を試しても画面が表示されず、操作不能に陥った場合の最終手段が強制再起動です。システムがフリーズしている場合でも、この操作でパソコンを再起動させることができます。
データ損失のリスクに注意
強制再起動は、パソコンの電源を強制的に断つ操作です。そのため、保存していない作業中のデータはすべて失われます。また、OSのアップデート中など、重要なファイルの書き込み中に実行すると、システムが破損してWindowsが起動しなくなるリスクもあります。あくまで最終手段として実行してください。
強制再起動の手順
ほとんどのパソコンで共通の手順は以下の通りです。
電源ボタンを10秒以上長押しする
電源ボタンを押し続けると、数秒後に電源ランプが消え、パソコンの電源が完全に切れます。電源が切れたことを確認したら、一度ボタンから指を離し、数秒待ってから再度電源ボタンを押してパソコンを起動します。
デスクトップパソコンに「リセットボタン」がある場合は、そちらを押すことでも再起動できます。ただし、電源長押しと同様にリスクがあるため、使用は慎重に行いましょう。
グラフィックドライバのリセットショートカットキー

画面が真っ暗になったり、表示が固まったりする原因として、画面表示を制御している「グラフィックドライバ」というソフトウェアの一時的な不具合が考えられます。Windowsには、このドライバを即座に再起動(リセット)させるための便利なショートカットキーが用意されています。
即時対処できるショートカットキー
この操作は、OSがバックグラウンドで動作している場合に有効です。データが消えることはありませんので、気軽に試すことができます。
Windowsキー + Ctrl + Shift + B
この4つのキーを同時に押すと、画面が一瞬チカっと点滅し、「ピッ」という短いビープ音が鳴ることがあります。これはグラフィックドライバが正常にリセットされた合図です。その後、画面表示が元に戻ることがあります。
どんな時に有効か?
- 画面は真っ暗だが、マウスカーソルだけは動く
- ゲームや動画再生中に突然画面が真っ暗になった
- スリープから復帰したら表示がおかしくなった
これらの症状の場合、ドライバのクラッシュが原因である可能性が高いため、このショートカットキーは非常に有効です。もしこれで解決しない、または頻繁に再発する場合は、ドライバ自体が破損している可能性があるため、後述するセーフモードでのドライバ再インストールを検討する必要があります。
矢印だけ表示されマウスは動く時の対処法

電源を入れると画面は真っ暗なのに、マウスを動かすと矢印(カーソル)だけは表示される、という奇妙な症状があります。この状態は、OS(Windows)自体は起動しているものの、デスクトップ画面などを描画する担当のプログラム(explorer.exe)が正常に動作していない可能性が高いことを示しています。
つまり、ハードウェアの故障ではなく、ソフトウェアレベルの問題である可能性が高いため、比較的簡単な操作で復旧できる見込みがあります。
対処手順
- タスクマネージャーを起動する
まず、キーボードで「Ctrl」+「Alt」+「Delete」キーを同時に押します。青い画面が表示されたら「タスクマネージャー」を選択します。または「Ctrl」+「Shift」+「Esc」で直接タスクマネージャーを起動することもできます。
タスクマネージャーが表示されない場合は、より深刻な問題(ドライバのクラッシュなど)が考えられます。その場合は、前述のグラフィックドライバリセットのショートカットキーを試してください。 - explorer.exeを再起動する
タスクマネージャーが表示されたら、以下の手順でデスクトップの描画プロセスを再起動します。
- タスクマネージャーのメニューから「ファイル」→「新しいタスクの実行」をクリックします。
- 「新しいタスクの作成」ウィンドウが表示されたら、入力欄に「explorer.exe」と入力し、「OK」をクリックします。
これで、見慣れたデスクトップ画面やタスクバーが再表示されるはずです。
この症状が頻繁に発生する場合は、常駐しているソフトウェアや最近インストールしたアプリケーションが影響している可能性があります。システムの復元や不要なスタートアッププログラムの無効化を検討しましょう。
パソコン画面が真っ暗で電源ついてる時の解決策
- 外部モニターへの接続で原因を切り分ける
- 放電・帯電リセット方法と周辺機器の影響
- ソフトウェアの問題を疑いセーフモードで起動
- メモリの接触不良で画面が映らず起動しない
- BIOSが起動せず画面が映らない時の確認点
- グラフィックボードやディスプレイの故障
- 重篤なハードウェア故障の可能性を判断する
- 修理の見積もりとデータ保護を最優先に
- 総括:パソコン画面が真っ暗で電源ついてる時
外部モニターへの接続で原因を切り分ける

パソコン本体に問題があるのか、それともディスプレイだけに問題があるのかを切り分ける最も効果的な方法が、外部モニターへの接続です。これにより、問題の箇所をかなり正確に特定できます。
接続テストの手順と判断
- パソコンの映像出力端子(HDMI、DisplayPort、USB-Cなど)と、外部モニター(または家庭のテレビ)をケーブルで接続します。
- キーボードの「Windowsキー」+「P」を何度か押し、表示モードを「複製」または「セカンドスクリーンのみ」に切り替えます。
外部モニターでの結果 | 考えられる原因 | 次のアクション |
---|---|---|
正常に表示される | ノートパソコンの内蔵液晶パネル、またはそれを繋ぐ内部ケーブルの故障の可能性が非常に高いです。パソコン本体(マザーボードやGPU)は正常に動作しています。 | 修理に出して液晶パネルの交換を検討します。応急処置として外部モニターを使い続けることも可能です。 |
表示されない | パソコン本体の内部パーツ(グラフィックボード、マザーボード、メモリなど)の故障の可能性が高いです。映像信号そのものが生成されていません。 | 後述するメモリの抜き差しや、最小構成での起動を試します。それでもダメな場合は専門家による修理が必要です。 |
USB-Cポートの注意点
最近のノートパソコンに搭載されているUSB-Cポートは、充電、データ転送、映像出力など多機能ですが、すべてのUSB-Cポートが映像出力(DisplayPort Alternate Mode)に対応しているわけではありません。映像出力に対応しているか、パソコンの仕様を確認する必要があります。
この切り分けテストは、その後の対処方針を決める上で非常に重要です。もし外部モニターをお持ちでなければ、家庭用のテレビでも代用できる場合が多いので試してみましょう。
放電・帯電リセット方法と周辺機器の影響

パソコンの内部には、電源を切った後もコンデンサなどに微弱な電気が残っています。この残留電気が溜まりすぎる(帯電する)と、部品が誤作動を起こし、正常に起動しなくなることがあります。この不要な電気を完全に放電させることで、トラブルが解決することがあります。
また、接続している周辺機器が起動を妨げているケースも少なくありません。
放電の具体的な手順
- パソコンをシャットダウンします。
- コンセントから電源ケーブルを抜きます。(非常に重要)
- マウス、キーボード、USBメモリ、外付けHDD、プリンターなど、接続されているすべての周辺機器を取り外します。
- ノートパソコンの場合は、可能であればバッテリーも取り外します。(内蔵型で簡単に外せない場合は無理に行わないでください)
- その状態で、電源ボタンを15~30秒間、長押しします。これにより、内部に溜まった電気が放出されます。
- 数分間放置した後、電源ケーブル(とバッテリー)のみを接続し、周辺機器は繋がないまま電源を入れます。
この放電作業は、原因不明の多くの起動トラブルに対して有効な対処法です。特にスリープからの復帰失敗や、突然電源が入らなくなった(ように見える)場合に効果を発揮します。
分解時の静電気に注意
バッテリーの取り外しや後述するメモリの抜き差しなどでパソコン内部に触れる際は、必ず静電気対策を行ってください。セーターなどを着ている場合は脱ぎ、作業前に金属製のドアノブなどに触れて体に溜まった静電気を逃がしましょう。内部の精密な部品は静電気で簡単に壊れてしまいます。
ソフトウェアの問題を疑いセーフモードで起動

「セーフモード」とは、パソコンに問題が発生した際の原因究明のために、Windowsを必要最小限の機能だけで起動する診断用のモードです。もしセーフモードで正常に画面が表示されるなら、問題の原因はハードウェアの故障ではなく、後から追加したドライバやソフトウェアにあると特定できます。
セーフモードへの入り方
Windowsが起動しない状態からセーフモードに入るには、少し特殊な操作が必要です。
- パソコンの電源を入れ、メーカーのロゴが表示されたあたりで電源ボタンを長押しして強制終了します。
- この「起動→強制終了」の操作を2~3回繰り返します。
- すると、「自動修復を準備しています」という画面が表示され、その後、青い背景の「回復」環境が起動します。
- 「詳細オプション」→「トラブルシューティング」→「詳細オプション」→「スタートアップ設定」と進みます。
- 「再起動」ボタンを押すと、オプション一覧が表示されるので、キーボードの「4」または「F4」キーを押してセーフモードを起動します。
セーフモードでできること
セーフモードで無事に起動できたら、以下の対処を行います。
- グラフィックドライバの再インストール: 問題の原因となりやすいグラフィックドライバを一度アンインストールし、パソコンメーカーの公式サイトから最新版をダウンロードして再インストールします。
- 最近インストールしたソフトの削除: 画面が真っ暗になる直前にインストールしたソフトウェアがあれば、それが原因の可能性があります。アンインストールしてみましょう。
- システムの復元: 事前に復元ポイントが作成されていれば、パソコンが正常に動作していた時点の状態に戻すことができます。
メモリの接触不良で画面が映らず起動しない

パソコンの主要部品であるメモリ(RAM)の接触不良は、画面が真っ暗になる原因として非常に多いトラブルの一つです。メモリが正しく認識されないと、パソコンは起動プロセスの最も初期の段階(POST)で失敗し、画面に何も表示されません。
症状の特徴
- 電源ボタンを押すとファンは回るが、画面は真っ暗なまま。
- メーカーロゴやBIOS画面すら表示されない。
- 「ピー、ピー」といったビープ音(警告音)が鳴ることがある。
対処法:メモリの抜き差し(再装着)
メモリを一度スロットから抜き、再度しっかりと挿し直すことで接触が改善され、問題が解決することがあります。
【重要】作業前の注意
この作業はパソコン内部に触れるため、感電や故障のリスクが伴います。必ず電源ケーブルを抜き、前述の放電作業を行ってください。また、静電気対策も必須です。自信がない場合や、保証期間内の場合はメーカーサポートに連絡することをお勧めします。
- パソコンのケースまたは裏蓋を開けて、メモリスロットを見つけます。(場所は機種により異なります)
- メモリスロットの両端にある固定クリップを外側に開くと、メモリが少し浮き上がります。
- メモリをまっすぐ引き抜きます。
- スロットのホコリなどをエアダスターで吹き飛ばし、メモリの金属端子部分を乾いた布で優しく拭きます。
- メモリの切り欠きとスロットの突起を合わせ、まっすぐ奥まで挿し込みます。
- 「カチッ」と音がして両端のクリップが自動的に閉まるまで、メモリを均等に押し込みます。
メモリが2枚以上挿さっている場合は、1枚だけで起動を試す(最小構成でのテスト)ことで、どのメモリが、あるいはどのスロットが問題なのかを特定できる場合もあります。
BIOSが起動せず画面が映らない時の確認点

パソコンの電源を入れると、まず「BIOS(バイオス)」または「UEFI(ユーイーエフアイ)」というプログラムが動き出し、接続されているハードウェアをチェックします。このチェック(POST)に合格して初めて、Windowsの読み込みが始まります。
メーカーロゴが表示されず、BIOS設定画面にも入れない場合、この最も基本的なプログラムが正常に動作していないことを意味し、問題が深刻である可能性を示唆します。
確認手順と対処法
- BIOSキーを連打する
電源投入直後から、メーカー指定のキー(多くはF2、F12、Deleteなど)を連打し、BIOS/UEFI設定画面が表示されるか試します。表示されれば、ハードウェアの基本認識はできています。
- 最小構成で起動してみる
メモリを1枚にし、SSD/HDDやグラフィックボード(内蔵グラフィックスがある場合)などを一度取り外し、CPU・メモリ1枚・電源という最小限の構成で起動を試みます。これでBIOS画面が出れば、取り外した部品のいずれかが原因です。一つずつ部品を戻しながら、原因のパーツを特定します。
- CMOSクリアを試す
BIOSの設定情報が保存されているCMOSメモリの内容が破損して起動しない場合があります。マザーボード上にあるボタン電池を一度抜き、数分待ってから戻す「CMOSクリア」を行うと、BIOS設定が工場出荷状態にリセットされ、起動できるようになることがあります。
グラフィックボードやディスプレイの故障

これまで紹介した対処法を試しても改善しない場合、映像を描画する役割を持つ「グラフィックボード(GPU)」や、映像を映し出す「ディスプレイ」そのものが物理的に故障している可能性を疑う必要があります。
故障の見分け方
原因がどちらにあるかは、すでにご紹介した「外部モニターへの接続」で判断できます。
- 外部モニターに映る場合 → ディスプレイの故障
パソコン本体は正常に映像信号を出力できています。ノートパソコンの内蔵液晶パネルやバックライト、またはそれらを繋ぐケーブルが故障している可能性が高いです。特にバックライトが故障した場合、懐中電灯などで画面を照らすとうっすらと映像が見えることがあります。
- 外部モニターにも映らない場合 → グラフィックボードの故障
パソコン本体から映像信号が出力されていません。グラフィックボードの故障が強く疑われます。ファンは回っているのに映像が出ない、画面にノイズやブロック状の乱れ(アーティファクト)が表示される、といった症状も特徴的です。デスクトップPCの場合、グラフィックボードの補助電源ケーブルの接続忘れや接触不良も原因となり得ます。
これらの部品が故障した場合、修理または交換が必要になります。
重篤なハードウェア故障の可能性を判断する

画面が真っ暗になる原因が、パソコンの心臓部であるマザーボードや電源ユニット(PSU)といった、より根本的な部品の故障である場合もあります。これらの故障は、症状が他のトラブルと似ているため特定が難しいですが、いくつかの判断材料があります。
故障を疑うサイン
- 電源が入らない、またはすぐに落ちる: 電源ボタンを押してもファンが一瞬回るだけですぐに電源が落ちる、あるいは全く反応がない場合は、電源ユニットやマザーボードの故障が考えられます。
- 焦げ臭い匂いがする: パソコン内部から焦げたような異臭がする場合、コンデンサの破裂や基盤のショートなど、物理的な損傷が発生している可能性が非常に高いです。直ちに使用を中止し、電源ケーブルを抜いてください。
- ビープ音(警告音)が鳴る: 起動時に鳴る「ピッ」という音のパターンで、どこに問題があるかを示している場合があります。例えば「長音1回、短音2回」はグラフィックボード異常など、マザーボードのメーカーによってパターンが定義されています。
- 最小構成でも起動しない: CPUとメモリ1枚だけの最小構成でもBIOS画面が表示されない場合、マザーボード、CPU、電源ユニットのいずれかの故障である可能性が極めて高いです。
これらの症状が見られる場合、自力での修理は非常に困難です。無理に分解などを試みると状況を悪化させる可能性があるため、速やかに専門の修理業者に相談することをお勧めします。
修理の見積もりとデータ保護を最優先に

様々な対処法を試しても問題が解決せず、ハードウェアの故障が濃厚となった場合、修理に出すことを検討する必要があります。しかし、その前に必ず行わなければならない最も重要なことがあります。それはデータの保護(バックアップ)です。
修理に出すとデータは消去される可能性が高い
メーカーや修理業者によっては、修理の過程でストレージ(HDD/SSD)を初期化(工場出荷状態に戻す)することがあります。大切な写真や仕事のファイルなどを失わないために、修理に出す前に必ずデータのバックアップを取ってください。
データを救出する方法
パソコンが起動しなくても、内蔵されているHDDやSSDが物理的に破損していなければ、データを取り出すことは可能です。
- パソコンからHDD/SSDを取り外します。
- 「SATA-USB変換アダプタ」などの機器を用意し、取り外したHDD/SSDを別の正常なパソコンにUSB接続します。
- 外付けドライブとして認識されたら、必要なファイルを別のパソコンや外付けHDDにコピーします。
この作業が難しい場合や、HDDから異音がするなど物理的な障害が疑われる場合は、データ復旧を専門とする業者に相談しましょう。
修理の見積もりを取る
データを保護できたら、修理の見積もりを依頼します。
- メーカーサポート: 保証期間内であれば、無償または安価で修理できる可能性があります。純正部品による修理で安心感がありますが、修理期間が長くなる傾向があります。
- パソコン専門修理業者: メーカーの保証が切れている場合や、より柔軟な対応を求める場合に適しています。複数の業者から見積もりを取り、料金やサービス内容を比較検討しましょう。
パソコンの使用年数や修理費用によっては、修理ではなく新しいパソコンに買い替える方がコストパフォーマンスが高い場合もあります。見積もり額を見て慎重に判断しましょう。
総括:パソコン画面が真っ暗で電源ついてる時

- 画面が真っ暗な時はまず電源やケーブルの接続を再確認する
- モニターの入力切替やPCの輝度設定がゼロになっていないか見る
- WindowsキーとPの同時押しで画面出力モードを切り替えてみる
- スリープから復帰しない場合は電源ボタンの短押しを試す
- 操作不能時は電源ボタン長押しで強制再起動を行うがデータ損失に注意
- Win+Ctrl+Shift+Bキーでグラフィックドライバをリセットできる
- マウスカーソルだけ動く場合はタスクマネージャーからexplorer.exeを再起動
- 外部モニターに繋いでみて問題がPC本体かディスプレイかを切り分ける
- セーフモードで起動できればドライバやソフトの問題である可能性が高い
- ビープ音が鳴る場合はメモリの接触不良を疑い抜き差しを試す
- メーカーロゴすら出ない場合はBIOSやマザーボードの故障を疑う
- 外部モニターにも映らなければグラフィックボード故障の可能性が高い
- 異臭や異音がする場合は重篤なハードウェア故障のためすぐに使用を中止
- 修理に出す前にはデータが消える前提で必ずバックアップを最優先で行う
*周辺機器を全て外し電源ケーブルを抜いて放電作業を試す