マウスのホイールを回してもスクロールが空回りしたり、意図せず逆走したりする症状にお困りではありませんか。その原因は、ホコリや汚れかもしれませんし、Windows11・Windows10やMacのソフトウェア設定に問題があるのかもしれません。
本記事では、簡単な原因の特定方法から、電池交換や接続確認、ドライバーの再インストール、掃除といった具体的な対処法を解説します。ChromeやExcelでの特有の問題、無線やBluetooth接続の不具合、Logicool製品の注意点も網羅。それでも治らない場合の分解修理や、最終的な買い替えのおすすめまで紹介するので、ぜひ参考にしてください。
- マウスのスクロール不具合の主な原因
- 自分でできる簡単な対処法のステップ
- OSやアプリ別の具体的な解決策
- 修理が難しい場合の最終的な選択肢
マウスのスクロールが空回り?原因特定と自分でできる対処法
- その症状は逆走?まずは状態を確認
- ハードかソフトか?原因の特定方法
- 基本は電池交換と接続確認から試す
- OSのソフトウェア設定を見直そう
- Windows11・Windows10での設定手順
- Macでのスクロール設定の確認方法
- 無線・Bluetooth接続のトラブル解決法
- 具体的なスクロールの設定変更ポイント
その症状は逆走?まずは状態を確認

マウスのスクロールがうまく機能しない時、その症状は様々です。まずは、ご自身のマウスがどのような状態にあるのかを正確に把握することが、解決への第一歩となります。以下に代表的な症状をまとめました。
- スクロールの空回り: 最も一般的な症状です。マウスホイールを回転させても、画面が全くスクロールしない、または少しだけ動いてすぐに止まってしまいます。
- スクロールの逆走: ホイールを下に回しているのに画面が上にスクロールするなど、意図とは逆方向に動いてしまう現象です。
- 勝手にスクロールする: マウスに触れていないにもかかわらず、画面が勝手に上下に動くことがあります。
- スクロールが飛ぶ・途切れる: スムーズにスクロールせず、ガクガクと断続的に動いたり、数行を一気に飛び越えたりします。
- 特定のアプリでのみ発生: WebブラウザのChromeや表計算ソフトのExcelなど、特定のアプリケーションを使用している時だけ不具合が起こるケースです。
これらの症状の中から、自分の状況に最も近いものを特定しましょう。原因を探る上で重要な手がかりとなります。
ハードかソフトか?原因の特定方法
スクロールの不具合は、マウス本体の物理的な問題(ハードウェア)か、PCの設定やドライバーといったシステム上の問題(ソフトウェア)のどちらかに起因します。原因を切り分けることで、対処法を絞り込むことができます。
以下の2つの方法で、原因がどちらにあるのかを特定しましょう。
| 確認方法 | 結果 | 考えられる原因 | 
|---|---|---|
| ① 別のPCに問題のマウスを接続する | 別のPCでも同じ症状が出る | マウス本体の故障や汚れの可能性が高い | 
| 別のPCでは正常に動く | 元のPCのソフトウェア(OS設定、ドライバー等)が原因の可能性が高い | |
| ② 別の正常なマウスを問題のPCに接続する | 別のマウスでも同じ症状が出る | PCのソフトウェアが原因の可能性が高い | 
| 別のマウスは正常に動く | 元のマウス本体の故障や汚れの可能性が高い | 
この切り分け作業は非常に重要です。ソフトウェアが原因であれば設定変更で直る可能性が高いですが、ハードウェアが原因の場合は掃除や修理、最終的には買い替えが必要になるかもしれません。
基本は電池交換と接続確認から試す

専門的な対処法を試す前に、まずは最も基本的で簡単な確認から始めましょう。特にワイヤレスマウスの場合、不具合の多くは電力供給や接続の問題が原因です。
ワイヤレスマウスの場合
電池残量が少なくなると、マウスの動作が不安定になることがあります。カーソルは動いても、スクロールのような細かい信号が正常に送れなくなるのです。中途半端に残っている電池ではなく、必ず新品のアルカリ電池や満充電の充電池に交換してください。
- USBレシーバータイプ: 一度レシーバーをPCから抜き、数秒待ってから別のUSBポートに挿し直してみましょう。特にPCの背面ポートより、障害物の少ない前面ポートの方が電波が安定しやすい場合があります。
- Bluetoothタイプ: PCのBluetooth設定画面を開き、一度マウスのペアリングを解除(デバイスを削除)してから、再度ペアリング作業を行ってください。
有線マウスの場合
有線マウスの場合は、USBケーブルの接触不良が考えられます。一度ケーブルをPCから抜き、ホコリなどがないか確認してから、別のUSBポートにしっかりと挿し直してみましょう。USBハブを介している場合は、PC本体のUSBポートに直接接続すると改善することがあります。
OSのソフトウェア設定を見直そう
マウス本体に問題がない場合、次に疑うべきはPCのOS(Operating System)設定です。意図しないうちに設定が変更されていることで、スクロールに不具合が生じることがあります。
特に確認すべきは以下の項目です。
- 一度にスクロールする行数: この設定値が「1」など極端に小さいと、ホイールを回しても少ししか動かず「空回り」しているように感じることがあります。逆に大きすぎると「スクロールが飛ぶ」原因になります。
- スクロール方向の設定: スクロールが逆走する場合、この設定が原因である可能性が非常に高いです。「ナチュラルスクロール」といった名称で設定項目があります。
- 非アクティブウィンドウのスクロール: この機能がオンになっていると、マウスポインターを合わせただけで、クリックしていない手前のウィンドウがスクロールしてしまうことがあります。
これらの設定は、WindowsやMacのシステム設定画面から確認・変更が可能です。次の項目で具体的な手順を解説します。
Windows11・Windows10での設定手順

Windowsをお使いの場合、「設定」アプリと「コントロールパネル」からマウスの挙動を調整できます。
Windows 11 の場合
- 「スタート」メニューをクリックし、「設定」を開きます。
- 左側のメニューから「Bluetoothとデバイス」を選択し、次に「マウス」をクリックします。
- 「スクロール」の項目にある「一度にスクロールする行数」のスライダーを調整します(一般的には3〜5が適切です)。
- 「ポイントしたときに非アクティブ ウィンドウをスクロールする」のオン/オフを切り替えて、症状が改善するか確認します。
Windows 10 の場合
- 「スタート」メニューをクリックし、「設定」(歯車アイコン)を開きます。
- 「デバイス」を選択し、左側のメニューから「マウス」をクリックします。
- 「一度にスクロールする行数を選択してください」のスライダーを調整します。
- 「ポイントしたときに非アクティブ ウィンドウをスクロールする」のオン/オフを試します。
より詳細な設定はコントロールパネルから行えます。検索ボックスに「コントロールパネル」と入力して開き、「ハードウェアとサウンド」→「マウス」と進みます。「ホイール」タブで垂直スクロールの行数をより細かく設定できます。
Macでのスクロール設定の確認方法
Macでスクロールの逆走が起こる場合、そのほとんどは「ナチュラルスクロール」の設定が原因です。これはトラックパッドのような直感的な操作感を実現するための機能ですが、従来のWindows式マウスに慣れていると違和感を覚えることがあります。
macOS Ventura以降の場合
- 画面左上のアップルメニューから「システム設定」を開きます。
- 左側のサイドバーをスクロールし、「マウス」を選択します。
- 「スクロールの方向:ナチュラル」のスイッチをオンまたはオフに切り替えます。
- オン: 指の動きに合わせてコンテンツが動く(トラックパッドと同じ)
- オフ: ホイールを下に回すと画面が下に動く(Windowsと同じ)
 
- 「スクロールの速さ」のスライダーで、スクロール量を調整することも可能です。
macOS Monterey以前の場合
- アップルメニューから「システム環境設定」を開きます。
- 「マウス」をクリックします。
- 「ポイントとクリック」タブにある「スクロールの方向:ナチュラル」のチェックボックスを入り切りして、好みの方向に設定します。
純正の設定で満足できない場合は、「Mos」や「LinearMouse」といった無料のサードパーティ製アプリを導入するのも一つの手です。スクロールをより滑らかにしたり、アプリごとに設定を反転させたりと、高度なカスタマイズが可能になります。
無線・Bluetooth接続のトラブル解決法

ワイヤレスマウスのスクロール不具合は、PCやマウス本体だけでなく、両者を繋ぐ「電波」が原因で発生することもあります。接続が不安定だと、データが途切れてしまい、スクロールが飛んだり、反応しなくなったりします。
電波干渉の可能性
多くのワイヤレスマウスは2.4GHz帯という電波周波数を使用しています。この周波数は、Wi-Fiルーターや電子レンジ、コードレス電話など他の多くの機器も利用しているため、電波が干渉して動作が不安定になることがあります。
- USBレシーバーをPC背面のポートから、障害物の少ない前面のポートに挿し替える。
- USB延長ケーブルを使い、レシーバーをマウスの近くに設置する。
- Wi-Fiルーターなど、他の無線機器からマウスやレシーバーを物理的に離す。
省電力モードの影響
PCの省電力設定が、ワイヤレス機器の接続に影響を与えることがあります。一定時間操作がないと、PCがUSBポートやBluetoothアダプターへの電力供給を節約しようとし、スリープからの復帰時に接続が不安定になるケースです。
デバイスマネージャーで該当デバイスのプロパティを開き、「電源の管理」タブにある「電力の節約のために、コンピューターでこのデバイスの電源をオフにできるようにする」のチェックを外すと、問題が解決することがあります。
具体的なスクロールの設定変更ポイント
これまでの手順で原因の切り分けと基本的な確認が終わりました。ここでは、より具体的な設定変更のポイントをまとめます。
スクロール行数の再調整
Windowsの設定で、一度にスクロールする行数を3〜6行程度に設定し直してみましょう。少なすぎると反応が鈍く感じ、多すぎると意図した場所を通り過ぎてしまうことがあります。自分にとって最も操作しやすい行数を見つけてください。
スクロール方向の反転設定
スクロールが逆走する場合、原因はほぼ設定ミスです。Macの場合は「ナチュラルスクロール」を、Windowsでもマウスメーカーの専用ソフトウェア(後述)に「スクロール方向の反転」といった項目がないか確認し、オン/オフを切り替えてみましょう。
アプリケーション固有の設定を確認
特定のアプリ(Chromeなど)だけで不具合が起こる場合、そのアプリの拡張機能やアドインが干渉している可能性があります。特にスクロールを滑らかにする「SmoothScroll」系のChrome拡張機能は、アップデートの際に不具合を起こすことがあります。一度、拡張機能をすべて無効にして、症状が改善するか確認してみましょう。
メーカー製ソフトウェアのリセット
Logicoolなどの多機能マウスは、「Logi Options+」といった専用ソフトウェアでボタンの割り当てなどをカスタマイズできます。このソフトウェア内のプロファイル設定が何らかの理由で破損し、不具合を引き起こしている可能性も考えられます。一度、設定をデフォルト(初期状態)にリセットしてみるのも有効な手段です。
それでもマウスのスクロール空回りが治らない時の最終手段
- ドライバーの再インストールを試す手順
- ChromeやExcelでだけ起こる場合の対処法
- ホコリや汚れ、物理的な故障を疑う
- 分解不要!マウスの簡単な掃除方法
- Logicool製マウス特有の確認事項
- 自己責任で行う分解と修理の方法
- 何をしても治らないなら故障の可能性大
- 最終手段としての買い替えとおすすめ
- まとめ:マウスのスクロール空回りを解決する手順
ドライバーの再インストールを試す手順

設定変更でも改善しない場合、マウスを制御している「ドライバー」というソフトウェアが破損している可能性があります。ドライバーを一度削除し、再インストールすることで問題が解決することがあります。
以下の手順で進めてください。
- マウスをPCから取り外します(有線は抜き、無線は電源OFFまたはレシーバーを抜く)。
- Windowsの「スタート」ボタンを右クリックし、「デバイス マネージャー」を選択します。
- 一覧から「マウスとそのほかのポインティング デバイス」の項目を探し、左側の矢印をクリックして展開します。
- 該当するマウスのデバイス名(例: HID 準拠マウス)を右クリックし、「デバイスのアンインストール」を選択します。
- 確認ウィンドウが表示されたら、「このデバイスのドライバーソフトウェアを削除します」というチェックボックスにチェックを入れて「アンインストール」をクリックします。
- PCを再起動します。
- 再起動後、Windowsが標準のドライバーを自動的にインストールします。その後、マウスを再度接続し、スクロールが正常に動作するか確認してください。
ChromeやExcelでだけ起こる場合の対処法
OS全体では問題ないのに、Google ChromeやMicrosoft Excelといった特定のアプリでだけスクロールがおかしくなる場合は、アプリ固有の設定や機能が原因と考えられます。
Google Chromeでの特有の問題
Chromeでの不具合は、拡張機能の干渉が最も疑われます。
まずはChromeを「シークレットモード」で起動してみてください。シークレットモードでは拡張機能が一時的に無効になるため、これでスクロールが正常に戻れば、原因は拡張機能でほぼ確定です。設定画面から拡張機能を一つずつ無効化し、原因となっているものを特定しましょう。
また、Chromeの設定にある「ハードウェア アクセラレーションが使用可能な場合は使用する」という項目のオン/オフを切り替えてみることで改善するケースもあります。
Microsoft Excelでの特有の問題
Excelでのスクロール不具合には、見落としがちな原因が潜んでいます。
キーボードの「Scroll Lock」キーがオンになっていると、ホイールを回してもアクティブセルが移動せず、シート全体がスクロールしてしまいます。キーボードのランプや画面のステータスバーを確認し、「SCROLL LOCK」と表示されていたら、キーを押して無効化してください。
その他、「ウィンドウ枠の固定」機能が意図しないスクロールを引き起こしたり、サードパーティ製のアドインが影響したりしている可能性もあります。一度これらの機能を解除・無効化して動作を確認してみましょう。
ホコリや汚れ、物理的な故障を疑う

ソフトウェア的な対処法をすべて試しても改善しない場合、いよいよマウス本体の物理的な問題が原因である可能性が高まります。特に、スクロールの空回りや逆走は、内部部品へのホコリの蓄積が原因であることが非常に多いです。
なぜホコリで不具合が起きるのか?
マウスホイールの回転は、「ロータリーエンコーダー」という部品で検知されています。このエンコーダーは、ホイールの回転に合わせて光を遮ったり、接点を接触させたりすることで、PCに信号を送る仕組みです。
このエンコーダーの内部にホコリや髪の毛、ペットの毛などが入り込むと、センサーが正常に回転を読み取れなくなります。これが、スクロールが飛んだり、空回りしたり、逆走したりする現象の主なメカニズムです。
物理的な故障の可能性
長年使用しているマウスの場合、ホコリだけでなく部品そのものが寿命を迎えている可能性もあります。
- エンコーダーの摩耗: エンコーダーは物理的な接触を伴う消耗品であり、長期間の使用で接点がすり減り、接触不良を起こします。
- はんだクラック: 基板とエンコーダーを繋ぐ「はんだ」部分に、目に見えないほどの微細なヒビ(クラック)が入り、接続が不安定になることがあります。
簡易的な清掃を行っても症状が改善しない場合は、これらの物理的な故障を疑う必要があります。
分解不要!マウスの簡単な掃除方法
内部のホコリが原因の場合、分解しなくても簡単な掃除で改善することがあります。保証を失うリスクもないので、まずはこの方法を試してみましょう。
- エアダスター: 内部のホコリを吹き飛ばします。
- つまようじ や 竹串: ホイール側面の固着したゴミを掻き出します。
- (あれば)無水エタノールと綿棒: ホイール表面の皮脂汚れなどを拭き取ります。
掃除の手順
- 安全のため、マウスの電源を切るか、PCから取り外します。
- マウスホイールの隙間に向かって、エアダスターを短い間隔で「シュッ、シュッ」と数回噴射します。様々な角度から風を送り込み、内部のホコリを吹き飛ばすイメージです。
- ホイールを回転させながら、側面にこびりついたゴミを、つまようじの先などで優しく掻き出します。
- (汚れがひどい場合)綿棒に少量の無水エタノールを染み込ませ、ホイールのゴム部分や周辺の汚れを拭き取ります。
エアダスターを逆さまにしたり、連続で長時間噴射したりしないでください。冷却液が噴射され、結露により内部の電子部品がショートする原因になります。
Logicool製マウス特有の確認事項

Logicool(ロジクール)製のマウスは非常に人気がありますが、独自の機能がスクロール不具合の原因となるケースもあります。
専用ソフトウェア「Logi Options+」
Logicoolのマウスの性能を最大限に引き出すには、「Logi Options+」(旧製品ではLogitech OptionsやG HUB)という専用ソフトウェアが不可欠です。しかし、このソフトウェア自体の不具合やアップデートが原因で、マウスの挙動がおかしくなることがあります。まずはソフトウェアを最新版にアップデートするか、一度アンインストールしてから再インストールを試してみてください。
SmartShift / MagSpeedホイール
MX Masterシリーズなどに搭載されている「SmartShift」や「MagSpeed」は、ホイールを速く回すと、カリカリとしたクリック感のある「ラチェットモード」から、抵抗のない「フリースピンモード」へ自動で切り替わる便利な機能です。
しかし、この切り替えセンサーにホコリが溜まったり、機能が誤作動したりすると、意図せずフリースピン状態になり「空回り」しているように感じることがあります。Logi Options+のソフトウェア上で、このSmartShift機能を一時的にオフにしたり、切り替えの感度を調整したりして、症状に変化があるか確認してみましょう。
接続方式の再ペアリング
Logicool独自の「Unifying」や「Logi Bolt」といった無線接続方式で接続が不安定な場合、専用のソフトウェアを使ってデバイスの再ペアリングを行うと接続が安定し、問題が解決することがあります。
自己責任で行う分解と修理の方法
ここまでの対処法をすべて試しても改善せず、どうしてもマウスを使い続けたい場合、最終手段として分解・修理という選択肢があります。ただし、これは相応のリスクと技術を伴います。
- 分解した時点でメーカー保証は一切受けられなくなります。
- 作業に失敗し、マウスを完全に壊してしまうリスクがあります。
- すべての作業は自己責任で行ってください。
分解とエンコーダーの清掃・交換
分解の主な目的は、スクロール不具合の根源である「ロータリーエンコーダー」に直接アクセスすることです。
- マウス裏面のソール(滑りを良くするシート)を剥がすと、その下にネジが隠されていることが多いです。
- ネジをすべて外し、筐体のツメを慎重に外しながら上下のカバーを分離します。
- 基板上にあるホイールユニットを見つけ、エンコーダー(四角い部品)の隙間にエアダスターを吹いたり、接点復活剤をごく少量スプレーしたりして清掃します。
- 最も確実な修理はエンコーダー自体の交換です。しかし、これにははんだごてとはんだ吸い取り線を使った精密な作業が必要で、電子工作の経験がないと非常に困難です。同じ高さの交換用エンコーダー部品(Alps, Kailh, TTC製など)を別途購入する必要もあります。
何をしても治らないなら故障の可能性大

ソフトウェア的な対処から物理的な清掃まで、考えられるすべての手を尽くしてもスクロールの不具合が改善しない場合、それはマウスが寿命を迎えたサインかもしれません。
最終判断を下す前に、以下の項目を再確認してください。
- □ PCの設定変更やドライバーの再インストールは試したか?
- □ 電池交換やUSBポートの変更など、接続の確認はしたか?
- □ 分解しない範囲でのホコリの除去(エアダスターなど)は行ったか?
- □ 【最重要】別のPCに接続しても、全く同じ症状が再現されるか?
このチェックリストのすべてに「はい」と答えられるのであれば、残念ながらマウス内部のエンコーダー部品などが物理的に故障・摩耗している可能性が極めて高いと結論づけられます。この段階に至ると、修理するか、新しいものに買い替えるかの二択になります。
最終手段としての買い替えとおすすめ
エンコーダーの交換修理は手間とコスト、そしてリスクを伴います。多くの場合、新しいマウスに買い替える方が時間的にも経済的にも合理的で、確実な解決策と言えるでしょう。
新しいマウスを選ぶ際は、以下のポイントを参考にしてみてください。
選ぶ際のポイント
- 用途: 事務作業やWebブラウジングがメインか、高精度が求められるゲーミングやクリエイティブ作業か。
- 接続方式: 充電不要で安定している「有線」、取り回しが楽な「無線(USBレシーバー)」、レシーバー不要でPCやタブレットと接続しやすい「Bluetooth」。
- エルゴノミクス: 自分の手の大きさや握り方に合った形状か。長時間使っても疲れにくいデザインは重要です。
- 機能性: ボタンの数、静音性、高速スクロール機能の有無など、付加価値も考慮しましょう。
おすすめのモデルカテゴリ
| カテゴリ | 特徴 | 代表的なモデル例 | 
|---|---|---|
| オフィス・一般向け | 多機能で疲れにくいエルゴノミクス設計。作業効率を重視。 | Logicool MX Masterシリーズ, Logicool Mシリーズ, Microsoft Sculpt Ergonomic Mouse | 
| ゲーミング向け | 高精度センサー、軽量設計、多ボタンなどゲームに特化。 | Logicool Gシリーズ, Razer DeathAdder/Viperシリーズ | 
| コスパ・静音重視 | 手頃な価格で、クリック音が静かなモデルが豊富。 | ELECOM EX-Gシリーズ, Anker 縦型エルゴノミクスマウス | 
| Macユーザー向け | macOSとの親和性が高く、デザイン性に優れる。 | Apple Magic Mouse, Logicool MXシリーズ for Mac | 
まとめ:マウスのスクロール空回りを解決する手順
本記事で解説したマウスのスクロール空回り問題を解決するための手順をまとめました。トラブル解決の参考にしてください。
- マウスのスクロール不具合には空回りや逆走、途切れなど様々な症状がある
- まず別のPCに接続し、原因がマウス本体かPC側かを切り分けることが重要
- 無線マウスは新品の電池への交換や接続の再設定を最初に試すべき
- 有線マウスはUSBポートの変更やケーブルの再接続で改善することがある
- Windowsでは設定から「一度にスクロールする行数」を調整する
- Macでのスクロール逆走は「ナチュラルスクロール」設定の変更で直ることが多い
- 無線接続の不安定はWi-Fiルーターなどからの電波干渉が原因の可能性がある
- ソフトウェアの不具合はマウスドライバーの再インストールで解決する場合がある
- Chromeの不具合はシークレットモードで拡張機能の影響かを確認する
- ExcelではScroll Lockキーが有効になっていないかチェックする
- 物理的な原因の多くは内部のエンコーダーへのホコリの蓄積である
- 分解せずにエアダスターでホイールの隙間を掃除するだけでも効果が期待できる
- Logicool製マウスは専用ソフト「Logi Options+」の設定も確認する
- 分解修理はメーカー保証が無効になるため自己責任で行う必要がある
- あらゆる対処法を試しても治らない場合はハードウェアの物理的な故障の可能性が高い
- 修理の手間やコストを考えると新しいマウスへの買い替えが現実的な解決策となる
