パソコンの電源を入れても反応がない、ファンも回らず画面も映らない──そんなとき、多くの方が直面するのが「マザーボードが通電しない」という問題です。この記事では、「マザーボード 通電しない 原因」と検索してたどり着いた方に向けて、考えられる原因や確認方法、具体的な対処法をわかりやすく解説していきます。
まずは通電確認の基本から、通電ランプのチェック、テスターを使った電源ユニットの診断方法まで、初めての方でも実践しやすいステップを紹介します。さらに、通電しない場合に修理が可能かどうかの判断基準や、いざという時に頼れる修理業者の選び方、おすすめのポイントについても触れています。
自力で直せるかどうかを見極めたい方にも、修理を検討中の方にも役立つ情報をまとめているので、パソコンが動かなくて困っている方はぜひ最後までご覧ください。
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マザーボードが通電しない主な原因
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最小構成による通電確認の方法
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通電ランプやテスターを使った異常の見分け方
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修理の可否と修理業者の選び方
マザーボードが通電しない原因は?
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マザーボードが通電しない場合のよくある原因
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通電確認のために必要な最小構成
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通電ランプの点灯で異常を見分ける方法
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テスターを使って電源ユニットの故障を確認
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電源スイッチやケーブルの接続不良を確認する
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静電気やゆがみによる通電トラブルについて
マザーボードが通電しない場合のよくある原因
パソコンがまったく動かないとき、真っ先に疑われるのが「通電しているかどうか」です。通電とは、マザーボードに電気がきちんと流れている状態を指します。電気が流れていないと、電源ボタンを押してもファンが回らない、LEDが点かない、画面に何も表示されないといった症状が出ます。
このような場合、いくつかの原因が考えられます。たとえば、
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電源ユニットの故障(最も多い原因の一つ)
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マザーボードへの電源ケーブル接続ミス
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BIOSのバージョンが使用するCPUに対応していない
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静電気や物理的ダメージによるマザーボードの損傷
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ケースの電源スイッチや配線の故障
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マザーボード自体の初期不良や寿命
こうしたトラブルの厄介な点は、見た目だけでは判断が難しいことです。ランプが点かない、ファンが動かないといった“無反応状態”は、どこが壊れているのかを判断しづらくしてしまいます。
そこで重要になるのが、次の「最小構成での確認」や「通電ランプのチェック」といったトラブルシューティングのステップです。ひとつひとつ原因を潰していくことが、解決への近道になります。
通電確認のために必要な最小構成

通電の確認には「最小構成」という手順がとても役立ちます。これは、必要最低限の部品だけを使ってパソコンが起動するかどうかを調べる方法です。
一般的に、最小構成に必要なパーツは以下の通りです。
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マザーボード
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CPUとCPUクーラー
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メモリ(1枚だけ)
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電源ユニット
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グラフィックボード(※内蔵GPUがないCPUを使う場合のみ)
この構成で、PCケースには入れずに、机の上などで組み立てます。なぜなら、ケースに組み込んだままだと、マザーボードがケースに触れてショートしている可能性や、電源スイッチの配線が間違っているケースもあるからです。
また、グラフィックボードを省略できるかどうかは、使っているCPUに内蔵GPUがあるかどうかで決まります。たとえば「Intel Core i5-9600K」には内蔵GPUがありますが、「Core i5-9400F」にはありません。その場合、グラボがないと画面が映らないので注意が必要です。
この最小構成で電源が入れば、問題は他のパーツ(HDDやUSB機器など)にある可能性が高くなります。逆に、この構成でも通電しない場合は、マザーボード・CPU・電源ユニットのどれかが原因の可能性が高くなります。
通電ランプの点灯で異常を見分ける方法

パソコンが通電しているかどうかを簡単に見極める方法の一つが、マザーボードの通電ランプ(スタンバイLEDや電源LED)のチェックです。このランプは、マザーボードに電気が供給されているかどうかを示すため、トラブルシューティングには非常に便利です。
この通電ランプが点灯していれば、「電源ユニットからマザーボードへ電力が届いている」という証拠になります。一方で、全く点灯しない場合は、以下のような原因が考えられます。
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電源ユニットが壊れている
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電源ケーブルの接続が甘い、あるいは間違っている
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マザーボード自体が故障している
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壁の電源コンセントが通電していない(意外と多い)
また、ASUSのQ-LEDやMSIのEZ Debug LEDなど、トラブルを特定するランプを備えたマザーボードも増えています。これらはCPU・メモリ・グラフィックカードなどの不具合箇所をランプで教えてくれる便利な機能です。
一方、ランプが点いていても画面が映らないこともあります。つまり「通電していること」と「起動していること」はイコールではないという点にも注意が必要です。
テスターを使って電源ユニットの故障を確認
電源ユニットの異常を調べるときに頼りになるのが「テスター」です。これは電圧や導通をチェックできる計測器で、DIYや家電修理の現場でもよく使われています。
使い方は比較的シンプルです。パソコンの電源ユニットから出ている24ピンのATXケーブルの「緑(PS_ON)」と「黒(GND)」のピンにテスターを当てて、電源の反応を確認します。このとき電源がONになれば、基本的には電源ユニットは生きていると判断できます。
ただし、実際の運用時には全ての電圧が正常に出ているかをチェックする必要があります。具体的には以下の3系統の出力が基準電圧内かを確認します。
出力ライン | 基準電圧(目安) |
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+12V | 11.4~12.6V |
+5V | 4.75~5.25V |
+3.3V | 3.14~3.47V |
また、専用の「ATX電源チェッカー」を使えば、テスターよりも簡単に、ランプや音で異常を教えてくれます。初心者はこちらの方がわかりやすく安心です。
注意点として、電源ユニットの内部は高電圧がかかっているため、分解したり無理な使い方をしたりすると危険です。必ず外部からの計測だけでチェックするようにしてください。
電源スイッチやケーブルの接続不良を確認する

マザーボードが通電しないとき、「実は電源ボタンが壊れていただけ」というケースは少なくありません。特に自作PCや中古パーツを使っている場合は、スイッチやケーブルの取り付けミスが原因になっていることがよくあります。
まず確認したいのは、PCケースから出ている電源スイッチの配線(POWER SW)が、マザーボードのピンヘッダに正しく接続されているかどうかです。接続ミスや逆向きに差していると、電源を押しても何も起こりません。
さらに、スイッチそのものが壊れている可能性もあるので、マザーボードの電源ピンを金属のピンセットやドライバーで軽くショートさせてみましょう。これで電源が入る場合、スイッチかその配線に問題があると判断できます。
また、マザーボードに接続されている各電源ケーブル(24ピンメイン電源、8ピンCPU電源、グラボの補助電源など)が、しっかり差し込まれているかも確認しましょう。意外と「半差し」になっていて接触不良を起こしていることもあります。
最後に、電源ユニット側のスイッチがONになっているか、コンセントやタップが機能しているかも基本的なチェックポイントです。思わぬところで電気が届いていない、というのはよくある落とし穴です。
静電気やゆがみによる通電トラブルについて

マザーボードが通電しない原因として見逃されがちなのが、「静電気」や「物理的なゆがみ」です。どちらも目に見えないトラブルですが、実はマザーボードにとっては大敵です。
まず静電気について。人の体や服にたまった静電気が、PCパーツに触れた瞬間に放電されることで、内部回路にダメージを与えることがあります。特に冬場など乾燥した季節は注意が必要です。静電気は小さくても、マザーボードのチップやトランジスタにとっては致命傷になることもあります。
静電気対策としては、
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作業前に金属に触れて放電する
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静電気防止手袋やリストバンドを使用する
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カーペットの上で作業しない
といった工夫が有効です。
次に、物理的な「ゆがみ」について。マザーボードをケースに取り付ける際、ネジを締めすぎたり、大きなCPUクーラーやグラフィックボードの重さで基板が曲がったりすると、見えないところでパターン(配線)やはんだが割れてしまい、通電できなくなることがあります。
取り付け時には、ネジを強く締めすぎず、マザーボードが反り返らないように注意することが大切です。場合によっては、マザーボードの下にスペーサーや絶縁シートを使うのもおすすめです。
マザーボードが通電しない原因への対処と判断
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通電しない場合に修理が可能かを見極める方法
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CMOSクリアやBIOS更新が効果を発揮するケース
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修理業者に依頼する前に確認すべきポイント
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マザーボード修理業者のおすすめ選定基準
通電しない場合に修理が可能かを見極める方法
パソコンがまったく反応しないとき、「修理すれば直るのか」「それとも買い替えたほうがいいのか」は、誰もが悩むポイントです。判断のカギとなるのは、症状の出方と修理のコスト、そして部品の入手性です。
まず、以下のようなケースでは修理の可能性が高いです。
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通電はするが、BIOSや画面が表示されない
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スタンバイランプが点灯している
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電源ボタンを押すと一瞬ファンが動く
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突然起動しなくなったが、特に物理的な破損はない
こうした場合、電源ユニットやメモリ、グラフィックボードなど他のパーツが原因である可能性があり、マザーボードそのものは無事なことも少なくありません。
逆に、以下のような場合は、修理が難しいことが多いです。
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マザーボード上の部品(コンデンサなど)が焼け焦げている
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水没・落下などの物理的な損傷がある
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一切の通電反応がない
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型番が古く、代替部品の入手が困難
マザーボードの修理は、基板上の回路や電子部品をピンポイントで交換する高度な作業になるため、一般ユーザーでは対応が難しく、専門業者に頼るしかないケースもあります。
修理を検討する前に、「本当にマザーボードが原因か」を最小構成や他パーツの交換で確認しておくと、無駄なコストを抑えられます。
CMOSクリアやBIOS更新が効果を発揮するケース

マザーボードが通電しているのに画面が映らない、何度も再起動するなどの症状が出ている場合、「CMOSクリア」や「BIOSの更新」が効果を発揮することがあります。
CMOSクリアとは、マザーボードに保存されている設定情報(BIOS設定)をリセットする作業です。BIOSの設定が壊れていたり、オーバークロックやパーツの変更でエラーが出ている場合、リセットすることで正常に起動することがあります。
CMOSクリアの方法は2つあり、
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マザーボード上の「CMOSクリアジャンパー」をショートする
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ボタン電池(CR2032)を数分間外す
どちらでもOKです。作業前には必ず電源ケーブルを抜いておきましょう。
一方、BIOSのバージョンが古いために、CPUが認識されず起動しないこともあります。これは「BIOS未対応」という状態で、特に中古のマザーボードを使用していると起こりがちです。CPUの対応状況は、マザーボードメーカーの公式サイトで確認できます。
ただし、BIOS更新はリスクも伴います。失敗するとマザーボードが完全に起動しなくなることもあるため、事前に対応方法をしっかり確認し、自己責任で行う必要があります。対応BIOSでないとCPUが動かないというケースでは、古い世代のCPUを一時的に使ってBIOSを更新する「借りCPU戦法」が使われることもあります。
修理業者に依頼する前に確認すべきポイント

マザーボードの修理を専門業者に依頼する場合、事前にいくつか確認しておくべきポイントがあります。焦って申し込む前に、以下の点をチェックすることで、無駄な出費やトラブルを防げます。
まず、確認すべきなのは「修理が本当に必要かどうか」です。前述のように、電源ユニットやメモリ、スイッチ配線などが原因でマザーボードが通電していないように見えているだけのケースもあります。最小構成やパーツの入れ替えでチェックし、それでもダメな場合に修理を検討する流れが理想です。
次に、「修理業者の対応範囲と保証」です。業者によっては、メーカー製のPC(NEC、富士通など)は対象外だったり、法人向けしか扱っていなかったりすることもあります。また、修理後にどれくらいの保証期間があるのか、作業内容の説明は明確か、といった点も大切です。
加えて、「初期診断が無料かどうか」もチェックしましょう。最近は、初期診断から見積もりまでは無料で対応してくれる業者も多く、これを利用すれば費用感や修理可否の目安を知ったうえで判断ができます。
さらに、データが残っている場合は、「データの取り扱い」にも注意してください。作業中にデータが失われることもあるので、事前にバックアップをとっておくか、データ復旧も扱っている業者を選ぶと安心です。
マザーボード修理業者のおすすめ選定基準

「どの修理業者を選べばいいのか分からない」──これは、通電しないパソコンを前に、多くの人が感じる悩みです。選ぶときには、以下のポイントを意識すると失敗しにくくなります。
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初期診断や見積もりが無料であること
パーツを送ってみたら高額請求…というトラブルを避けるためにも、まずは無料で診断してもらえる業者を選びましょう。 -
修理実績が豊富であること
公式サイトやクチコミで、「○万件以上の対応実績」「法人対応も可能」などの情報があると安心材料になります。 -
対応スピードが早いこと
トラブルは突然起こるもの。緊急対応や最短即日対応を掲げている業者なら、時間的なストレスも減ります。 -
データ復旧も対応していること
マザーボードの不具合で起動できないときに、同時にデータの取り出しも必要になるケースがあります。データも大事なら、復旧対応ができる業者を選ぶのがおすすめです。 -
保証やアフターサポートがあること
修理後にまた不具合が出ることもあります。数ヶ月の保証やアフター対応がしっかりしているかも確認しておくと安心です。
最近では「デジタルデータリカバリー」や「パソコン修理王」など、信頼できる業者も多数存在しています。ただし、地域や対応範囲によって対応できない場合もあるので、事前の問い合わせは必須です。
マザーボードが通電しない原因と対処法の総まとめ
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電源ユニットが故障しているとマザーボードに電力が届かない
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電源ケーブルの接続ミスや緩みにより通電しないことがある
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BIOSのバージョンがCPUに対応しておらず起動できない場合がある
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静電気の影響で内部回路にダメージを受け通電不能になることがある
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マザーボードの物理的なゆがみでショートし電気が流れなくなる
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ケースの電源スイッチや配線の不良で起動信号が送られないことがある
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最小構成での起動テストにより原因パーツを切り分けやすくなる
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内蔵GPUの有無によりグラボなしでは画面が映らない場合がある
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通電ランプが点灯しているかで電力供給の有無を判断できる
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Q-LEDやEZ Debug LEDを使えば不具合箇所を特定しやすい
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テスターで各電源ラインの電圧を測ることで異常を発見できる
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ATX電源チェッカーを使えば初心者でも簡単に診断できる
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CMOSクリアで設定リセットすると起動するケースがある
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BIOS更新で非対応CPUが認識され起動するようになることもある
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修理が難しい場合は保証や実績のある修理業者に相談すべき