Logicool(ロジクール)のキーボードが突然ペアリングできなくなり、お困りではありませんか。多くの場合、キーボードが認識されない原因は、電池切れやレシーバーの接続不良といった単純な問題から、WindowsやMac、iPadといったOS側の設定、さらにはドライバの更新やデバイスマネージャーの操作が必要なケースまで多岐にわたります。
本記事では、UnifyingやLogi Boltといった接続技術の違い、Logicool Options+を使った設定、Easy-Switchの切り替えトラブル、そして最終手段としての再ペアリングやリセット方法、さらにはファームウェアの更新に至るまで、接続できない問題を解決するための手順を網羅的に解説します。
- Logicoolキーボードが接続できない際の基本的な原因特定方法
- UnifyingとLogi Boltレシーバーの違いとそれぞれの対処法
- Windows・Mac・iPadOS別の具体的なトラブルシューティング手順
- ドライバー更新やリセットなど、ソフトウェア面からの解決策
Logicoolキーボードがペアリングできない主な原因の切り分け
- まず確認!キーボードが認識されない原因
- 見落としがちな電池切れのサインとは
- レシーバー接続の物理的なチェック点
- UnifyingとLogi Boltの違いを理解する
- Easy-Switchでのデバイス切り替えミス
まず確認!キーボードが認識されない原因

Logicoolキーボードが認識されない場合、複雑な設定を疑う前に、まず基本的な物理的要因を確認することが重要です。多くの場合、問題は簡単な見落としに起因します。
電源と接続モードの確認
最も初歩的でありながら最も多い原因は、電源と接続モードの選択ミスです。
キーボード本体の電源スイッチが「ON」になっているかを必ず確認してください。次に、UnifyingやLogi Boltレシーバーを使用している場合は、PCのUSBポートにしっかりと差し込まれているかを確認します。Bluetooth接続の場合は、PCやタブレット側でBluetooth機能が有効になっていることを確かめましょう。
また、近年のLogicoolキーボードは複数のデバイスと接続を切り替える「Easy-Switch」機能を搭載していますが、これが設定ミスの原因となることがあります。
例えば、PCとレシーバーで接続しているのに、キーボードがBluetooth接続用のチャンネルに設定されていると認識されません。Easy-Switchキー(多くはF1, F2, F3キー)を押して、正しいチャンネルが選択されているか、キーのLEDインジケーターで確認してください。
電波干渉と物理的な障害物
ワイヤレス接続は周囲の環境に影響を受けます。キーボードとレシーバーの間に金属製の物体や分厚い壁などの障害物があると、電波が弱まり接続が不安定になります。また、Wi-Fiルーターや他のワイヤレス機器が発する2.4GHz帯の電波が干渉を引き起こすこともあります。この場合、USB延長ケーブルを使い、レシーバーをキーボードに近づけるといった対策が有効です。
見落としがちな電池切れのサインとは

ワイヤレスキーボードの動力源であるバッテリーは、接続問題の最も一般的な原因の一つです。電力不足は、ペアリングの失敗や接続の不安定化に直結します。
LEDインジケーターでの確認
多くのLogicoolキーボードには、バッテリー残量を示すLEDインジケーターが搭載されています。一般的に、バッテリー残量が少なくなると、このLEDが赤色に点灯または点滅して警告します。しかし、ペアリングプロセスは通常時よりも多くの電力を消費するため、LEDが警告を発していなくても、残量不足で失敗することがあります。
トラブルシューティングの基本として、原因が特定できない場合は、まず最初に新しい電池に交換するか、内蔵バッテリーを十分に充電することを強く推奨します。特に長期間使用した電池は、電圧が低下してペアリングに必要な電力を供給できないことがあります。
ソフトウェアでの正確な残量確認
より正確なバッテリー残量を知るには、公式ソフトウェア「Logi Options+」の利用が最も確実です。このアプリをインストールすれば、PC画面上で詳細なバッテリー残量をパーセンテージで確認でき、残量が低下した際に通知を受け取ることも可能です。
バッテリー問題の診断フロー
- キーボードの電源投入時にLEDが赤く点灯・点滅しないか確認する。
- 接続に問題がある場合、警告LEDがなくても電池を交換または充電してみる。
- 正確な状態を把握するために「Logi Options+」で残量を確認する。
レシーバー接続の物理的なチェック点

USBレシーバーはキーボードとPCを繋ぐ重要なパーツですが、物理的な接続環境が原因で問題が発生することがよくあります。ソフトウェアのトラブルシューティングに入る前に、まずは接続のベストプラクティスを試してください。
USBポートの選択と直接接続
ペアリングや接続が不安定な場合、USBハブ、延長ケーブル、KVMスイッチの使用は避け、必ずPC本体のUSBポートにレシーバーを直接接続してください。これらの周辺機器は、電力供給の不安定化や信号の遅延を引き起こし、通信エラーの原因となる可能性があります。
また、特定のUSBポートに問題がある可能性も考えられます。PCの背面にある別のUSBポート(特にUSB 2.0ポートは互換性が高い傾向にあります)に差し替えてみることで、ポート自体の不具合かどうかを切り分けられます。
レシーバー接続時の注意点
USB 3.0ポートは、その仕様上2.4GHz帯の無線周波数にノイズ干渉を引き起こす可能性があると報告されています。もし接続が不安定な場合は、USB 2.0ポートに接続することで改善することがあります。
UnifyingとLogi Boltの違いを理解する

Logicoolの2大ワイヤレステクノロジーである「Unifying」と「Logi Bolt」は、しばしばユーザーの混乱を招きます。この2つは全く互換性がないため、自分のキーボードがどちらに対応しているかを正確に理解することが不可欠です。
ロゴと技術仕様による見分け方
最も簡単な見分け方は、キーボード本体やレシーバーに印字されたロゴを確認することです。
- Unifying: オレンジ色の太陽のようなロゴが特徴です。
- Logi Bolt: 緑色または青緑色の稲妻のようなロゴが特徴です。
Unifying対応キーボードはLogi Boltレシーバーとはペアリングできず、その逆も同様です。絶対にペアリングは成功しないため、誤った組み合わせで時間を浪費しないよう注意が必要です。
機能比較表
以下の表で、両者の主な違いをまとめました。
特徴 | Logitech Unifying | Logi Bolt |
---|---|---|
ロゴ | オレンジ色の「太陽」アイコン | 緑/青緑色の「稲妻」アイコン |
基盤技術 | 独自2.4 GHz | Bluetooth Low Energy (セキュアモード) |
セキュリティ | 標準的な暗号化 | 強化されたFIPS準拠の暗号化 |
パフォーマンス | 標準的な環境で安定 | 電波が混雑したオフィス環境に最適化 |
互換性 | Logi Boltとは互換性なし | Unifyingとは互換性なし |
Logi Boltは、セキュリティが強化され、電波干渉の多い現代のオフィス環境でも安定した接続を提供することを目的に開発された、より新しい規格です。特に企業向けの「for Business」モデルで採用されることが多いです。
Easy-Switchでのデバイス切り替えミス

Easy-Switchは、1つのキーボードで最大3台のデバイスを切り替えて操作できる非常に便利な機能ですが、その操作方法を誤解していると接続できない原因になります。
ペアリングモードとチャンネル切り替えの違い
Easy-Switchキー(F1, F2, F3など)の操作には2種類あります。
- 短く押す: 既にペアリング済みのデバイスに接続先を切り替える操作です。
- 3秒間長押し: LEDが高速点滅し、新しいデバイスと接続するための「ペアリングモード」になります。
新しいPCやタブレットと接続したいのに、キーを短く押しているだけでは、永遠にペアリングはできません。必ず長押しして、キーボードをペアリング待機状態にする必要があります。
Fnロックの状態に注意
MX Keys Miniのようなコンパクトキーボードでは、Easy-Switchキーがファンクションキーと共有されています。「Fnロック」が有効になっている場合(通常はFn + Escで切り替え)、チャンネルを切り替えるにはF1キー単体ではなく、Fnキーを押しながらF1キーを押す必要があります。この仕様を知らないと、キーを押しても反応しないと勘違いしてしまうことがあります。
Logicoolキーボードがペアリングできない時のソフトウェア的解決策
- Logicool Options+の活用法
- ドライバ更新とデバイスマネージャー操作
- ファームウェア更新で不具合を解消する
- 最終手段の再ペアリングとリセット方法
- 【OS別】Windowsでの接続トラブル解決法
- 【OS別】Macでの接続トラブル解決法
- 【OS別】iPadでの接続トラブル解決法
- Logicoolキーボードがペアリングできない問題の総まとめ
Logicool Options+の活用法

「Logi Options+」は、キーのカスタマイズやバッテリー監視だけでなく、ペアリング問題を解決するためのハブとなる重要な公式ソフトウェアです。
デバイスの追加と削除
キーボードとレシーバーのペアリング情報が破損した場合、Options+を使って再設定するのが最も確実です。
- Logi Options+を起動し、メイン画面の「+ デバイスの追加」をクリックします。
- 接続の種類(Logi Bolt, Unifying, Bluetooth)を選択します。
- 画面の指示に従い、キーボードをペアリングモード(Easy-Switchキーを3秒長押し)にします。
もし既存のデバイスの調子が悪い場合は、一度デバイス設定画面からペアリングを削除(ゴミ箱アイコン)し、再度追加し直すことで問題が解決することがあります。
Options+自体のトラブルシューティング
Options+がキーボードを認識しない、または「バックエンド接続の問題」といったエラーが表示されることがあります。その場合は、以下の手順を試してください。
- アプリの再起動: Options+を完全に終了し、再度起動します。
- Logi Agentの再起動: タスクマネージャー(Windows)やアクティビティモニタ(macOS)から「Logi Agent」プロセスを強制終了し、Options+を再起動すると改善することがあります。
- クリーンインストール: アプリを一度アンインストールし、公式サイトから最新バージョンをダウンロードして再インストールします。
注意点:正しいソフトウェアの選択
Logicoolのソフトウェアは世代交代しており、古いモデルは「Logicool Options」や「Setpoint」が必要な場合があります。自分のキーボードに対応した正しいソフトウェアを公式サイトで確認してからインストールしてください。
ドライバ更新とデバイスマネージャー操作

特にWindows環境において、古くなったり破損したりしたデバイスドライバーは、接続問題の一般的な原因です。デバイスマネージャーを使って手動で対処することができます。
デバイスマネージャーでのドライバー再インストール手順
以下の手順で、問題のあるドライバーをクリーンに再インストールします。
- [Win] + [X]キーを押し、「デバイス マネージャー」を選択します。
- 「キーボード」「ヒューマン インターフェイス デバイス」「ユニバーサル シリアル バス コントローラー」のカテゴリを展開します。
- 該当するLogicoolデバイスや「不明なデバイス」を右クリックし、「デバイスのアンインストール」を選択します。
- 「このデバイスのドライバー ソフトウェアを削除します」のチェックボックスが表示されたら、必ずチェックを入れてください。
- PCを再起動し、レシーバーを再接続すると、Windowsが自動的に新しいドライバーをインストールします。
非表示デバイスの削除
デバイスマネージャーの「表示」メニューから「非表示のデバイスの表示」を選択すると、過去に接続された古いデバイスの情報が表示されることがあります。これらの灰色のアイコンをアンインストールすることで、ドライバーの競合が解決する場合があります。
ファームウェア更新で不具合を解消する

ファームウェアは、キーボードやレシーバー自体に組み込まれた基本ソフトウェアです。ドライバー更新で解決しない接続の途切れや不安定な動作は、ファームウェアを最新にすることで改善されることがあります。
ファームウェア更新の重要性
ファームウェアの更新には、以下のようなメリットがあります。
- バグ修正: 接続の安定性や特定のキーの応答性に関する問題を修正します。
- セキュリティ強化: ワイヤレス通信の脆弱性を解消します。
- パフォーマンス向上: 応答速度などを改善します。
ドライバーが「OSとデバイスの対話方法」を更新するのに対し、ファームウェアは「デバイス自体の動作方法」を更新します。ソフトウェア的な対策をすべて試しても改善しない場合の、論理的な次のステップです。
更新ツールの使い方
Logicoolはモデルに応じて複数の方法でファームウェア更新を提供しています。
- Logi Options+ / G HUB: 対応モデルの場合、アプリが自動で更新を検出し、通知してくれます。
- Firmware Update Tool: セキュリティアップデートなど、重要な更新の場合は、公式サイトのサポートページから専用の更新ツールをダウンロードする必要があります。
更新時の注意
ファームウェア更新中は、絶対にデバイスの電源を切ったり、PCから取り外したりしないでください。プロセスが中断されると、デバイスが動作しなくなる危険性があります。バッテリーが十分にあることを確認してから実行してください。
最終手段の再ペアリングとリセット方法

あらゆる対策を試しても解決しない場合、デバイスに保存されている接続情報を初期化する「リセット」が有効な手段となります。
OSからのペアリング情報削除
まず試すべきは、PCやタブレットに保存されているペアリング情報を削除し、まっさらな状態から再接続する方法です。
- Bluetoothの場合: OSのBluetooth設定画面を開き、デバイス一覧から該当のキーボードを選択して「デバイスの削除」や「このデバイスの登録を解除」を実行します。
- レシーバーの場合: UnifyingソフトウェアやLogi Options+を使い、一度デバイスのペアリングを解除してから、再度ペアリングし直します。
キーボード本体の工場出荷時リセット
OS側の情報を削除しても問題が解決しない場合、キーボード本体のメモリに記録されたペアリング情報が破損している可能性があります。その場合、以下のコマンドで工場出荷時リセットを実行します。
Logicoolキーボード共通リセットコマンド
- キーボードの電源をONにします。
- 以下のキーを順番に、素早く押します。
[Esc] → [O] → [Esc] → [O] → [Esc] → [B] - 成功すると、Easy-SwitchキーのLEDが点滅するなどの反応があります。
リセット操作の注意点
この操作は、キーボードに保存されている全てのチャンネルのペアリング情報を完全に消去します。リセット後は、使用する全てのデバイスと改めてペアリング作業を行う必要があります。
【OS別】Windowsでの接続トラブル解決法

Windows環境では、OSの省電力機能や内蔵のトラブルシューティングツールが問題解決の鍵となることがあります。
Bluetoothトラブルシューティングツールの活用
Windowsには、一般的なBluetoothの問題を自動で診断・修復する機能が備わっています。
[設定] > [更新とセキュリティ] > [トラブルシューティング] > [その他のトラブルシューティング ツール]と進み、「Bluetooth」を選択して実行します。画面の指示に従うだけで、多くの接続問題が解決する可能性があります。
USBセレクティブサスペンドの無効化
特にノートPCで、キーボードが突然切断される場合、OSの省電力機能が原因かもしれません。この機能は、バッテリーを節約するためにUSBポートへの給電を一時的に停止することがあり、これがレシーバーの接続断を引き起こします。
[コントロールパネル] > [電源オプション] > [プラン設定の変更] > [詳細な電源設定の変更]と進み、「USB設定」内の「USBのセレクティブ サスペンドの設定」を「無効」にすることで、この問題を回避できます。
【OS別】Macでの接続トラブル解決法

macOSでは、システムのプライバシー権限や、Bluetoothモジュール自体のリセットが有効な解決策となります。
プライバシーとセキュリティ権限の確認
Logi Options+が正常に動作するためには、macOSのセキュリティ設定で明示的な許可が必要です。
[システム設定] > [プライバシーとセキュリティ] > [アクセシビリティ]を開き、リスト内の「Logi Options Daemon」がオンになっていることを確認してください。もしオフになっている場合は、鍵アイコンでロックを解除して有効化する必要があります。
Bluetoothモジュールのリセット
Bluetooth接続が全体的に不安定な場合、モジュール自体をリセットすることで解決することがあります。以前はデバッグメニューから簡単に行えましたが、macOS Monterey以降ではターミナルからのコマンド実行が必要です。
- ターミナルアプリを起動します。
- コマンド
sudo pkill bluetoothd
を入力し、Enterキーを押します。 - 管理者パスワードを入力し、Macを再起動します。
この方法は、OSのBluetoothサービスを強制的に再起動するもので、ペアリング情報が破損した場合などに非常に効果的です。
【OS別】iPadでの接続トラブル解決法

iPadOSはシンプルなため、トラブルシューティングも基本的な操作に集約されます。
ペアリングの基本:登録解除と再接続
iPadでキーボードが正常に動作しない場合、最も効果的なのはペアリングを一度リセットすることです。
[設定] > [Bluetooth]を開き、デバイス名の横にある「i」(情報)アイコンをタップします。次に「このデバイスの登録を解除」を選択してペアリング情報を完全に削除し、その後、キーボードをペアリングモードにして最初から接続をやり直してください。
iPadOSアップデート後の不具合
iPadOSのメジャーアップデート後に、既存のBluetooth接続情報が破損することがあります。このような場合も、上記の「登録解除と再接続」の手順が最も確実な解決策となります。複雑な設定がない分、基本に立ち返ることが重要です。
Logicoolキーボードがペアリングできない問題の総まとめ
- まず確認すべきは電源スイッチと電池残量、そして接続モードの選択
- UnifyingとLogi Boltは互換性がなくロゴでの確認が不可欠
- レシーバーはUSBハブを避けPC本体のUSBポートに直接接続する
- 新しいデバイスとの接続はEasy-Switchキーの長押しでペアリングモードに
- Windowsではデバイスマネージャーでのドライバー再インストールが有効
- Windowsの省電力設定がUSBレシーバーの切断原因になることがある
- Macではプライバシー設定でLogi Options+にアクセシビリティ権限を付与
- macOSのBluetooth不調はターミナルからのモジュールリセットを試す
- iPadOSでの不具合はまず「このデバイスの登録を解除」して再ペアリング
- Logi Options+はペアリング管理とバッテリー状態を確認できる必須ツール
- ソフトウェアで解決しない接続不良はファームウェア更新で改善する場合がある
- 最終手段としてキーボード本体の工場出荷時リセットコマンドも存在する
- 電波干渉を避けるためレシーバーとキーボードの間に障害物を置かない
- OSのトラブルシューティングツールを実行するのも有効な手段の一つ
- キーボードに対応した正しい世代のLogicoolソフトウェアをインストールする