LANケーブルの抜き方で困っていませんか?ルーターやPC、壁のコンセントなど狭い場所で固いと焦りますよね。LANケーブルが抜けない原因は、多くの場合ツメ、つまりラッチの構造にあり、その外し方にはちょっとしたコツがあります。
もしツメが折れた場合でも、マイナスドライバーやペンチといった工具で対処可能です。この記事では、無理やり抜く際の注意点から、ツメ修復のためのラッチの後付け方法、新しいケーブルの交換や選び方、そして基本となる正しい差し方まで、一通り解説していきますね。爪なしの状態になっても慌てず対応しましょう。
- LANケーブルの正しい抜き方と抜けない時の原因
- ツメが折れた時の緊急対処法と便利な工具
- 場所別の抜き方のコツと安全上の注意点
- 折れたツメの修復方法とケーブルの選び方
基本的なLANケーブルの抜き方とトラブル対処法
- まずは基本!ツメ・ラッチの構造を知ろう
- 正しいLANケーブルの外し方とちょっとしたコツ
- LANケーブルが抜けない原因は?
- コネクタが固い場合の具体的な対処法
- ツメが折れた!爪なしケーブルを抜く方法
- 作業が捗る!あると便利な工具の種類
- マイナスドライバーやペンチの正しい使い方
まずは基本!ツメ・ラッチの構造を知ろう

LANケーブルをスムーズに抜くためには、まず先端部分の構造を知っておくことが大切ですよ。
LANケーブルの先についている透明なプラスチック部品は「RJ-45コネクタ」と呼ばれます。このコネクタの上か下にある、押すとカチカチ動く突起が「ツメ」または「ラッチ」です。
このツメは弾性のあるプラスチックでできていて、バネのような役割を担っています。ケーブルをPCやルーターのポート(差込口)に差し込むと、ツメの先端にある爪がポート内部の凹みに引っかかり、「カチッ」という音とともに物理的にロックされる仕組みです。このロックのおかげで、ケーブルが少し引っ張られたくらいでは抜けなくなっているんですね。
ケーブルを抜く時は、このツメを指で押し込むことでロックが解除され、スッと引き抜けるようになっています。
正しいLANケーブルの外し方とちょっとしたコツ
LANケーブルの外し方の基本手順と、知っていると便利なコツを紹介しますね。力はほとんどいらないので、落ち着いて試してみてください。
基本的な抜き方の手順
- ケーブルの根元にある硬いコネクタ部分をしっかりと指で持ちます。
- 親指か人差し指の腹で、ツメ(ラッチ)を「カチッ」と音がするか、手応えがあるまで根本に向かってしっかりと押し込みます。
- ツメを押し込んだ状態をキープしたまま、コネクタをまっすぐ水平に引き抜きます。
抜くときのコツ
- 一度奥に押し込む:引き抜く前に、ツメを押しながらコネクタを一度奥に軽く「グッ」と押し込んでから引くと、ロックが外れやすくなることがあります。
- 指を使い分ける:指の腹で押しにくい場合は、爪の先でツメの根元を押し込むと力が入りやすいですよ。
- 少しだけ揺らす:どうしても固い時は、コネクタを左右に本当にごくわずかに揺らしながら引くと抜けることも。ただし、ポート破損のリスクもあるので慎重に!
一番やってはいけないのは、ケーブル部分を引っ張ることです。内部で断線する大きな原因になるので、必ずコネクタ部分を持ってくださいね。
LANケーブルが抜けない原因は?

「正しくやってるはずなのに抜けない!」という場合、いくつかの原因が考えられます。よくある原因をリストアップしてみました。
| 主な原因 | 解説 |
|---|---|
| ツメが十分に押されていない | 最も多い原因です。ツメの先端だけを軽く押していたり、力が足りなかったりして、ロックが解除しきれていない状態です。 |
| ツメ折れ防止カバーの干渉 | コネクタを保護しているゴムやプラスチックのカバーが硬かったり、ズレていたりして、ツメを奥まで押し込めないケースです。 |
| ツメ(ラッチ)の破損・変形 | ツメが根元で折れていたり、曲がっていたりすると、押してもロックが正常に解除されません。 |
| 経年による固着 | 長期間差しっぱなしにしていると、コネクタとポートがホコリなどで固着してしまうことがあります。 |
| ホコリや異物の詰まり | ポートの隙間にゴミが詰まって、物理的に動きを邪魔している可能性も考えられます。 |
| ケーブルの引っ張りによる変形 | 過去に無理に引っ張ったことで、コネクタやポートがわずかに変形して引っかかっている状態です。 |
| 機器側のポートの不具合 | めったにありませんが、PCやルーター側のポート自体が破損・変形している可能性もあります。 |
コネクタが固い場合の具体的な対処法
原因がわかれば対処は難しくありません。コネクタが固くて抜けない場合の対処法をケース別に見ていきましょう。
ツメが押しにくい場合
ツメ折れ防止カバーが邪魔をしていることが多いです。カバーを指でめくるようにずらしながらツメを押してみてください。それでもダメなら、マイナスドライバーの先端などでカバーごと慎重にツメを押し込む方法もありますが、ポートを傷つけないように注意が必要です。
固着している場合
ツメを押しながらコネクタを一度奥に押し込み、その反動で引き抜くと効果的です。または、コネクタを上下左右にごくわずかに動かし、固着を剥がすようなイメージでゆっくり引き抜いてみましょう。
ホコリが原因の場合
エアダスターがあれば、ポートの隙間に吹きかけてホコリを飛ばしてから再度試すのがおすすめです。
滑って力が入らない場合
指が滑ってしまうなら、滑り止めの付いた手袋を使ったり、布をコネクタに被せたりすると、しっかり力が入りますよ。
ツメが折れた!爪なしケーブルを抜く方法

「ツメが根元からポッキリ折れてしまった…」そんな絶望的な状況でも、慌てずに対処すればケーブルを抜くことは可能です。ここでは、爪なしになったケーブルの抜き方を解説します。
必要な道具
- 精密マイナスドライバー
- 爪楊枝
- ゼムクリップを伸ばしたもの など
※細くて、ある程度の強度があるものを用意してください。
抜き方の手順
- 安全のため、接続しているPCやルーターなどの機器の電源を必ずオフにします。
- LANポートとコネクタの隙間から、折れたツメがあった場所を覗き込みます。ポート内部に、ツメの代わりをしていたプラスチックのロック部品が見えるはずです。
- 精密マイナスドライバーなど細い道具の先端を隙間に差し込み、そのロック部品を慎重に押し下げます。
- ロック部品を道具で押し下げたまま、もう片方の手でLANケーブルのコネクタをまっすぐ引き抜きます。
【最重要】ポート内部を傷つけない!
ポート内部には、データをやり取りするための金色の金属端子が並んでいます。これをドライバーの先で傷つけてしまうと、ポートが使えなくなってしまいます。作業は細心の注意を払って、自己責任で行ってください。
作業が捗る!あると便利な工具の種類
LANケーブルの抜き差しやメンテナンスでは、いくつか便利な工具があります。一家に一つあると、いざという時に役立つかもしれません。
- 精密マイナスドライバー
- 折れたツメのロック解除や、固いツメ折れ防止カバーを押す際に大活躍します。
- ラジオペンチ
- 指が届かない狭い場所でコネクタを掴んだり、ツメを押したりするのに使えます。ただし、力を入れすぎると破損の原因になるため扱いは慎重に。
- LANコネクタ抜き差し補助工具
- 指が入りにくい場所に便利な専用工具です。てこの原理で簡単にツメを押し、安全に引き抜くことができます。
- エアダスター
- ポート周りのホコリ除去に。接触不良の予防にもなります。
- 圧着工具(LANペンチ)
- これは専門的な工具ですが、ツメが折れたコネクタを新しいものに交換する際に必須となります。
マイナスドライバーやペンチの正しい使い方

工具は便利ですが、使い方を間違えると機器を壊す原因にもなります。特にマイナスドライバーとペンチの扱いには注意が必要です。
マイナスドライバーの使い方(ツメ折れ時)
先端が細い精密ドライバーを選び、必ず機器の電源をオフにしてから作業を始めましょう。コネクタとポートの隙間(ツメがあった側)にドライバーの先端を差し込み、内部の金属端子を絶対に避けながら、プラスチック製のラッチ部分をテコの原理で軽く押し下げます。ラッチを押し下げたままケーブルを引き抜いてください。力加減がとても重要です。
ペンチの使い方(最終手段)
ペンチの使用は、コネクタやポートを物理的に破壊するリスクが非常に高いため、推奨される方法ではありません。あくまで自己責任の最終手段と考えてください。
どうしても使う場合は、ケーブル部分ではなく、コネクタのプラスチック部分を破損しない程度の力でしっかり掴みます。ツメを押すか、折れている場合はマイナスドライバーでロックを解除しながら、ペンチでまっすぐ引き抜きます。少しでも固いと感じたら、無理に進めないでください。
場所別LANケーブルの抜き方とメンテナンス知識
- 壁のコンセントからLANケーブルを抜くには
- ルーターやPCから抜く際の注意点
- 家具裏など狭い場所で作業するコツ
- 無理やりはNG!知っておきたい注意点
- 折れたツメの簡単な修復方法
- 便利な後付けラッチの取り付け方
- 次に買うLANケーブルの交換・選び方
- 意外と重要!LANケーブルの正しい差し方
壁のコンセントからLANケーブルを抜くには
壁に設置されたLANコンセント(情報コンセント)からの抜き方も、基本的にはPCやルーターと同じです。ただ、壁埋め込み式ならではの抜きにくさがありますね。
指が入りにくいケース
コンセント周りのスペースが狭いことが多いため、指の腹でツメを押しにくいです。そんな時は、指の爪を立ててツメの根元をグッと押すと力が伝わりやすいですよ。それでも難しい場合は、マイナスドライバーなどで慎重に押すのも一つの手です。
ケーブルが固いケース
壁内配線に余裕がなく、ケーブルが常に張っている状態だと抜けにくいことがあります。この場合は、ケーブルを少し壁側に押し込みながらツメを押すと、ラッチの引っかかりが緩んで抜きやすくなります。
家具の裏など、手元が見えない場所で作業する場合は、スマートフォンのライトなどで照らして、コネクタの位置をしっかり確認してから作業しましょう。手探りは危険です。
ルーターやPCから抜く際の注意点

ルーターやPCは、LANケーブルを抜き差しする機会が最も多い場所かもしれません。それぞれに特有の注意点があります。
ルーターから抜く際の注意点
ルーターは複数のLANポートが密集しているため、隣のケーブルが邪魔で指が入りにくいことがあります。抜きたいケーブルを間違えないように、事前によく確認しましょう。どうしても作業しにくい場合は、一時的に隣のケーブルを抜いて作業スペースを確保するのが安全で確実です。
PCから抜く際の注意点
デスクトップPCの背面など、見えにくい位置にポートがあることが多いですよね。無理な体勢で手探りで作業せず、PCを少し動かしたりライトで照らしたりして、目視で確認しながら作業するのが鉄則です。
特にノートPCのLANポートは薄くデリケートな構造なので、コネクタをこじったり、斜めに引き抜いたりしないよう、より一層慎重に扱ってくださいね。
家具裏など狭い場所で作業するコツ
家具の裏やPCケースの奥、機器が密集したラックなど、狭くて作業しにくい場所でのコツをまとめました。
- 手元を照らす:基本ですが最も重要です。スマートフォンのライトや懐中電灯でコネクタとポートの位置を正確に確認しましょう。
- 道具を活用する:指が届かないなら「LANコネクタ抜き差し補助工具」を使うのが最も安全で確実です。なければラジオペンチの先端でツメを慎重に押す方法もありますが、滑って機器を傷つけないよう注意してください。
- スペースを確保する:可能であれば、機器や家具を少し動かして作業スペースを作ることが一番の安全策です。無理な体勢での作業は、手元が狂う原因になります。
無理やりはNG!知っておきたい注意点

何度もお伝えしていますが、LANケーブルを無理やり引き抜くのは絶対にやめてください。深刻なトラブルにつながる可能性があります。
無理に引き抜いた場合のリスク
- ツメ(ラッチ)の破損:最も多い故障です。ツメが折れるとケーブルが固定されなくなり、接触不良や通信切断の原因になります。
- コネクタの破損:コネクタのプラスチック部分が割れたり、変形したりします。
- ケーブル内部の断線:ケーブル部分を強く引っ張ることで、内部の細い銅線が切れ、通信不能になります。
- 機器側LANポートの破損:最も重大な被害です。PCやルーター本体のポートが壊れると、修理は高額になるか、マザーボード交換などで実質的に修理不能になることもあります。
必ずツメを押し込み、ロックが外れた感触を確認してから引き抜く。これを徹底してくださいね。
折れたツメの簡単な修復方法
うっかりツメを折ってしまったケーブル、捨てるしかないと思っていませんか?実は簡単に修復する方法があるんです。
方法1: ラッチ補修カバー(後付けラッチ)を取り付ける
これが最も簡単で安全な方法です。折れたツメの上から被せて、新しいツメとして機能させるための部品で、工具不要でパチンとはめ込むだけ。数百円程度で手軽に入手できます。
方法2: 新しいコネクタに交換する
こちらは最も確実で恒久的な方法ですが、専門知識が必要です。ケーブルの先端をニッパーで切り、専用の圧着工具を使って新しいRJ-45コネクタを取り付けます。初心者には少し難易度が高いかもしれません。
方法3: 結束バンドによる応急処置
細い結束バンドをコネクタの根元にきつく巻き付け、余った部分をカットして擬似的なツメを作る方法です。あくまで一時的な応急処置で、固定力は弱いので、早めに本格的な修復をおすすめします。
便利な後付けラッチの取り付け方

ツメ折れ修復で一番おすすめなのが「後付けラッチ」や「ラッチ補修カバー」です。これについてもう少し詳しく解説しますね。
コネクタ全体を覆うブーツタイプや、折れたツメ部分にだけはめ込むクリップタイプなど、いくつか種類があります。取り付け方は非常に簡単です。
- 製品のカバーを開く、またはスライドさせます。
- LANケーブルのコネクタを正しい向きでセットします。
- カバーを「パチン」と音がするまで閉じて固定すれば完了です。
メリット
ケーブルを丸ごと買い替えるよりずっと経済的で、誰でも工具なしで簡単に修復できるのが最大の魅力です。
注意点
コネクタの形状によっては適合しない製品もあるので、購入前に確認しましょう。また、取り付け後はコネクタが一回り大きくなるため、ポートが密集している場所では隣と干渉する可能性もあります。
次に買うLANケーブルの交換・選び方
修復が面倒だったり、ケーブル自体が古くなっていたりする場合は、新しいものに交換するのも良い選択です。LANケーブルを選ぶ際のポイントを3つ紹介します。
カテゴリ(CAT)で選ぶ
LANケーブルには通信速度の規格があり、「CAT5e」や「CAT6」といったカテゴリで示されます。契約しているインターネット回線の速度に合わせて選ぶのが基本です。
| カテゴリ | 最大通信速度 | おすすめの環境 |
|---|---|---|
| CAT5e | 1Gbps | 一般的な光回線(1Gbps)で十分な性能 |
| CAT6 | 1Gbps | CAT5eよりノイズに強く、より安定性を求める場合に |
| CAT6A | 10Gbps | 高速な光回線(10Gbpsなど)の性能を活かしたい場合に |
| CAT7以上 | 10Gbps~ | 主に業務用。家庭用ではオーバースペックなことが多い |
ケーブルの形状で選ぶ
- スタンダード:丸くて太い標準タイプ。ノイズに強く安定しています。
- スリム:細くて柔らかく、取り回しがしやすいのが特徴です。
- フラット:薄いきしめん状。カーペットの下やドアの隙間に配線するのに便利です。
ツメの構造で選ぶ
最近はツメ折れ防止カバー付きの製品が主流で、物理的に折れにくくなっています。また、そもそもツメがないラッチレス(ツメなし)タイプもあり、頻繁に抜き差しする用途に便利ですよ。
意外と重要!LANケーブルの正しい差し方

抜き方だけでなく、正しい差し方も覚えておきましょう。正しく差さっていないと、通信が不安定になる原因になります。
- コネクタの上下の向きを確認し、ツメ(ラッチ)がポートの爪受け側に来るように合わせます。
- ポートに対して、斜めにならないようにまっすぐ水平に差し込みます。
- 「カチッ」としっかりとした手応えや音がするまで、奥まで確実に差し込みます。
- 最後にケーブルを軽く引っ張り、ロックがかかって簡単に抜けないことを確認すれば完了です。
もし「カチッ」と音がしない場合は、奥まで刺さっていないか、コネクタやポートに問題があるかもしれません。中途半端な差し込みは接触不良のもとなので、しっかり確認してくださいね。
総まとめ!LANケーブルの抜き方のポイント
- LANケーブルを抜く際はコネクタのツメを根本までしっかり押し込む
- 抜けない時は一度奥に押し込んでから引くと外れやすいことがある
- ケーブル部分を引っ張ると断線の原因になるため必ずコネクタを持つ
- 抜けない主な原因はツメの押し込み不足や保護カバーの干渉である
- ツメが折れた場合は精密マイナスドライバーで内部のロックを解除する
- ポート内部の金属端子を傷つけるとポートが故障するので要注意
- 無理やり引き抜くと機器側のポートが破損する最も深刻なリスクがある
- 壁のコンセントなど狭い場所では指の爪を立ててツメを押すと良い
- ルーター周りはポートが密集しているので抜くケーブルを間違えない
- 作業しにくい場所ではスマホのライトで手元を照らすと安全性が増す
- 折れたツメは数百円で買える後付けラッチで誰でも簡単に修復できる
- 後付けラッチは工具不要で、ケーブルを買い替えるより経済的だ
- 新しいケーブルは契約回線速度に合ったカテゴリ(CAT)を選ぶ
- 最近はツメが折れにくい「ツメ折れ防止カバー付き」が主流である
- ケーブルを差す時は「カチッ」と音がするまで確実に差し込むこと