パソコンのパフォーマンスを少しでも向上させたいと考えている方の中には、Windows11のGPUのスケジューリングを考えている方も多いはずです。この記事では、まず「GPU スケジューリングとは」何かをわかりやすく解説し、その仕組みや設定方法、実際に得られるスケジューリングのメリット 効果について紹介します。
一方で、すべての環境でうまく機能するとは限らず、スケジューリングのデメリットや、設定によってはスケジューリング フリーズといった不具合が起きることもあります。そういったリスクもふまえ、GPU スケジューリングの有効化と無効化 やり方や、設定項目がスケジューリング ない どこにあるのか困ったときの対応方法まで丁寧に説明していきます。
また、AMDユーザーに向けた注意点や、OBSとの相性についても触れてつつ、Valorant、apex、FPSなどの人気ゲームでどのような効果があるかも紹介していこうと思います。ぜひ参考にしてみてください。
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GPUスケジューリングとは何かとその仕組み
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Windows11での設定方法と注意点
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メリットやデメリット、発生しやすい不具合の傾向
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ゲームやアプリでの実際の効果や影響
GPUスケジューリング|Windows11
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GPUスケジューリングとは?
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スケジューリングの効果やメリット は?
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スケジューリングのデメリット
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GPUスケジューリング|AMDの注意点
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GPUスケジューリング|OBSでの注意点
GPUスケジューリングとは?
GPUスケジューリングとは、パソコンでのグラフィック処理にかかる一部の負荷を、CPUではなくGPU(グラフィックス処理装置)に直接管理・処理させることで、より効率的に描画処理を行えるようにするための機能です。通常、グラフィック処理はCPUが制御しながらGPUに命令を出しますが、この機能を有効にすることで、GPU自身が処理のタイミングや順番を決めることができ、CPUの負担を軽減しながら全体のパフォーマンス向上を目指します。
このGPUスケジューリング機能は、Windows 10ではMay 2020 Update以降のバージョンから、Windows 11では標準的にサポートされており、使うには対応するグラフィックドライバのインストールが必要です。具体的な要件として、NVIDIA製のGPUではバージョン451.48以降、AMD製ではAdrenalin 2020 Edition 20.5.1以降のドライバが必要です。
この機能の働きをシンプルに例えるなら、従来の方法は「CPUが監督でGPUが作業員」のような関係でしたが、GPUスケジューリングでは「GPU自身が監督も兼ねて動く」ような仕組みに変わります。つまり、GPUが自主的に処理計画を立てて動けるようになることで、処理の効率が上がるのです。
導入条件やドライバのバージョンも含めて、以下の表にまとめました:
項目 | 要件・条件 |
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対応OS | Windows 10 May 2020 Update以降 / Windows 11 |
対応GPUドライバ(NVIDIA) | バージョン 451.48 以上 |
対応GPUドライバ(AMD) | Adrenalin 2020 Edition 20.5.1 以上 |
主な効果 | CPU負荷軽減、描画処理の効率化、遅延の低減など |
注意点 | 全アプリ対応ではない、不具合の可能性あり |
ただし、すべてのアプリやゲームがこの新方式に対応しているわけではなく、特に古いアプリケーションでは効果が感じられない、あるいは不安定になる可能性もあります。パフォーマンス改善を期待する場合は、まず自分のPC環境と目的のアプリケーションがGPUスケジューリングに対応しているかを確認し、必要に応じてオン・オフを切り替えながら効果を見極めることが大切です。
スケジューリングの効果やメリット は?
GPUスケジューリングにはいくつかの明確なメリットがあります。特に注目されているのは、描画にかかるタイミングのズレを抑える「レイテンシ(遅延)」の低減と、全体的な動作の滑らかさです。
以下のようなケースで、メリットが実感できることがあります:
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高負荷なゲームでカクつきが減少し、操作がスムーズに感じられる
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VRや3Dソフトなど、映像処理の重い作業で安定性が向上することがある
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フレームレート(FPS)の落ち込みが抑えられ、安定しやすくなる
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エンコード処理やライブ配信中のCPU負荷が軽減される場面もある
この機能の効果は、特に最新のGPUや高速なVRAMを搭載しているPC環境で顕著に現れる傾向があります。また、NVIDIAのDLSS(ディープラーニング超解像)などと併用することで、より滑らかで美しい描画体験を得られることもあります。
とはいえ、どんな環境でも必ず効果が出るわけではない点には注意が必要です。実際の効果は、使っているゲームやアプリケーションの種類、解像度、VRAMの容量などに左右されます。
スケジューリングのデメリット
一方で、GPUスケジューリングには知っておきたいいくつかのデメリットや注意点があります。すべてのユーザーにとって必ずしもメリットばかりとは限りません。
代表的なデメリットには以下のようなものがあります:
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一部の古いアプリケーションや非対応ソフトで不具合が出る可能性がある
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ゲームによっては画面が乱れる、表示が一時的に止まるなどの症状が見られる
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高解像度ディスプレイ(2Kや4K)では、逆に動作が重くなる場合がある
たとえば、人気のあるOBS StudioではGPUスケジューリングを有効にすると録画時に映像が乱れたり、配信が途中で停止したりする例が報告されています。また、そもそも機能自体がまだ発展途上にあるため、環境によっては安定しないことも。
設定後は必ずPCを再起動して反映させることも忘れてはいけません。万が一不具合が出たときは、一度オフにして様子を見る柔軟さが求められます。
GPUスケジューリング|AMDの注意点
AMD製のGPUを使用している場合も、GPUスケジューリング機能を利用することは可能です。ただし、NVIDIA製品とは仕様や設定の方法が異なるため、いくつかの点に注意が必要です。
まず前提として、GPUスケジューリングを使うには対応したドライバが必要です。対応条件は以下の表にまとめました:
項目 | AMDでの要件 |
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対応OS | Windows 10 May 2020 Update以降、またはWindows 11 |
必要ドライババージョン | Adrenalin 2020 Edition 20.5.1以降 |
設定箇所 | Radeonソフトウェア内「グラフィックス設定」または「パフォーマンス設定」 |
設定項目の非表示対策 | 最新ドライバへアップデート後に再確認 |
Windows 11では初期設定でオンになっていることもありますが、環境によっては手動での確認が必要です。ドライバとの組み合わせによって挙動が異なることがあるため、設定画面に表示されない場合は、まず最新のドライバに更新し、再度設定を確認してみましょう。
また、AMD環境ではスケジューリングを有効にした際に不具合が出る事例も報告されています。たとえば、ゲーム中にカクつきやクラッシュが起きたり、録画ソフトとの相性が悪くなるケースなどです。そのため、性能向上を目的に導入する場合でも、安定性に不安があるなら一時的にオフにして様子を見ることをおすすめします。
導入を検討する際は、安定性と性能のバランスを意識し、環境に合った設定を選びましょう。
GPUスケジューリング|OBSでの注意点
動画配信や録画に使われるOBS(Open Broadcaster Software)とGPUスケジューリングの相性についても触れておきましょう。OBSはとても多機能なソフトで、ゲーム実況やライブ配信などに広く使われていますが、GPUスケジューリングを有効にするとトラブルが起きるケースがあります。
具体的には以下のような問題が報告されています:
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映像が録画中に突然停止する
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配信映像に乱れや音ズレが発生する
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エンコードエラーによって録画が開始されない
これらの現象は、OBSがGPUスケジューリングの新しい仕組みに完全に対応していないことが原因とされています。安定性を重視したいユーザーにとっては、あえてこの機能を無効にする選択も一つの手です。
トラブルを防ぐための対策としては、以下のような方法があります:
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GPUスケジューリングを一時的にオフにして様子を見る
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OBSとグラフィックドライバの双方を最新版に更新する
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エンコード方式を「ソフトウェア(x264)」などに変更してみる
配信を仕事や趣味で行っている場合、映像の安定性は非常に重要です。少しでも不安定さを感じたら、まずGPUスケジューリングの影響を疑ってみるとよいでしょう。状況に応じて、最適な設定を選ぶことが快適な作業環境につながります。
GPUスケジューリング|Windows11の設定と対策
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Windows11の有効化と無効化のやり方
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スケジューリングがない?どこにある?
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スケジューリングしたらフリーズが発生?
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Windows10でのやり方は?
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VALORANT・FPS・Apexで効果はある?
Windows11の有効化と無効化のやり方
Windows 11でGPUスケジューリングを有効化・無効化する方法はとてもシンプルです。ただし、設定を変更しても即時には反映されず、PCの再起動が必要になります。以下の手順で設定できます。
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「スタートメニュー」を開き、「設定」を選択します。
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左側メニューから「システム」をクリックし、「ディスプレイ」を選びます。
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ページ下部の「グラフィック設定(関連設定)」をクリックします。
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「既定のグラフィックス設定を変更する」というリンクをクリックします。
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「ハードウェア アクセラレータによる GPU スケジューリング」をオンまたはオフに切り替えます。
設定を変更した後は、必ずPCを再起動しましょう。これにより変更が適用され、安定した動作を確認することができます。なお、高解像度環境や一部のアプリでは、オンにしたことで逆にパフォーマンスが下がるケースもあるため、状況に応じて切り替えて試すことが大切です。
スケジューリングがない?どこにある?
GPUスケジューリングの設定項目が見つからない場合、いくつかの原因が考えられます。まずチェックすべきポイントを以下にまとめました:
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Windowsのバージョンが古い(May 2020 Update以前など)
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グラフィックドライバが対応していないバージョンである
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GPUそのものが非対応モデル(古い世代のGPUなど)
対処法としては、以下の手順を試してみてください:
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Windows UpdateでOSを最新の状態に更新する
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NVIDIAまたはAMDの公式サイトから最新ドライバをインストールする
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上記を試しても表示されない場合は、使用しているGPUが非対応である可能性があります
また、設定箇所が分かりづらいだけというケースもあるため、「設定」→「システム」→「ディスプレイ」→「グラフィック設定」→「既定のグラフィックス設定を変更する」の順にしっかり確認しましょう。
スケジューリングしたらフリーズが発生?
GPUスケジューリングをオンにした結果、ゲーム中やアプリ使用中にフリーズやクラッシュが発生するケースも報告されています。これは、すべてのアプリケーションが新しい描画スケジューリング方式に最適化されていないことが一因です。
特に以下のような状況では注意が必要です:
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古いアプリやゲームを使用している
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OBSなど、映像処理が複雑なソフトを使っている
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VRや高解像度ディスプレイを使っている
このような症状が出た場合、まずはスケジューリングをオフに戻して様子を見てみましょう。また、ドライバが最新でない場合も誤作動の原因になりやすいため、更新の確認も忘れずに行いましょう。
Windows10でのやり方は?
Windows 10でもGPUスケジューリングは利用可能ですが、対応するバージョンとドライバが必要です。特にWindows 10 May 2020 Update以降であることが条件になります。設定方法はWindows 11とほぼ同様です。
手順は以下のとおりです:
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スタートメニューから「設定」を開く
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「システム」→「ディスプレイ」を選ぶ
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ページ下部にある「グラフィックの設定」をクリック
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「ハードウェア アクセラレータによる GPU スケジューリング」をオンまたはオフに切り替える
設定後は必ずPCを再起動して、変更内容を反映させてください。なお、Windows 10では設定場所が少し違うこともあるため、「ゲーム」セクションから「グラフィック設定」に進むルートも試してみてください。
VALORANT・FPS・Apexで効果はある?
GPUスケジューリングは、VALORANT(ヴァロラント)やApex LegendsといったFPS(ファーストパーソン・シューティング)ゲームにも影響を与えることがあります。ただし、効果の出方はプレイヤーの環境によって異なります。
期待できる主な効果は以下のとおりです:
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フレームレートの向上や安定(特にCPUボトルネックが発生している環境)
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入力遅延(Input Lag)の軽減
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一部の描画ラグやカクつきの解消
一方で、以下のような点には注意が必要です:
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GPUが高性能であっても、モニターのリフレッシュレートが低ければ効果を体感しづらい
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ゲーム側の最適化状況によっては、パフォーマンスに影響が出にくい
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逆に設定が原因で不安定になる可能性もゼロではない
そのため、FPSゲームをプレイしていて何らかの描画遅延やフレーム落ちを感じている場合には、一度GPUスケジューリングをオンにして試してみる価値があります。逆に問題が発生したら、オフに戻して様子を見るのが安心です。
GPUスケジューリング|Windows11の総括
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GPUスケジューリングとはCPUの負荷を軽減し描画効率を上げる機能
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Windows11では標準対応しており設定からオン・オフ可能
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NVIDIAは451.48以降、AMDはAdrenalin 20.5.1以降のドライバが必要
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対応していないアプリでは不具合が出る可能性がある
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レイテンシの低減やフレームレート安定化に効果がある
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VRや3Dソフト使用時の動作安定に貢献することがある
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OBSとの併用では録画や配信に支障が出るケースがある
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高解像度環境では逆にパフォーマンスが下がることがある
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Windows11での設定手順は「ディスプレイ」→「グラフィック設定」経由
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設定変更後は再起動が必要である
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項目が表示されない場合はOSやドライバが古い可能性がある
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フリーズなどのトラブル時はオフにすることで安定することがある
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Windows10でも同様の機能が使えるがバージョン制限あり
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FPSやVALORANT、Apexで描画遅延改善が見込まれる場合がある
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全てのゲームで効果があるわけではなく環境依存が大きい