LANケーブルを選ぼうとした時、「カテゴリー6」と「カテゴリー6a」という規格があって、どっちを選べばいいか迷った経験はありませんか?スペック比較をすると通信速度や周波数帯域、ノイズ耐性に差があるのは分かるけど、自分の環境で本当に必要性があるのか、価格差に見合うのかって判断が難しいですよね。
この記事では、10ギガ(10GBASE-T)環境やオンラインゲーム(FPS)といった具体的な用途から、将来性やオーバースペックの心配、それぞれのデメリットまで詳しく解説します。Cat5eやCat7との比較や、今使っているケーブルの確認方法も紹介するので、あなたの環境に最適な一本を見つけるための選び方のポイントがきっと見つかりますよ。
- Cat6とCat6aのスペックや性能の具体的な違い
- それぞれのメリット・デメリットと価格差
- あなたのネット環境や用途に最適なケーブルの選び方
- 10Gbps環境や将来性を見据えた場合の判断基準
LAN ケーブル カテゴリー 6 6a 違いをスペックから徹底比較
- スペックを一覧表で比較
- 通信速度や周波数帯域、ノイズ耐性
- ケーブルの構造、太さ、価格の違い
- 機器との互換性について
- 10ギガ(10GBASE-T)通信での差
- Cat5eやCat7との比較も解説
スペックを一覧表で比較

まずは、カテゴリー6(以下、Cat6)とカテゴリー6a(以下、Cat6a)の基本的なスペックの違いを一覧表で見てみましょう。この表を見るだけで、性能の差がどこにあるのかが一目でわかりますよ。
| 項目 | カテゴリー6 (Cat6) | カテゴリー6a (Cat6a) |
|---|---|---|
| 通信規格 | 1000BASE-T / 10GBASE-T (条件付き) | 10GBASE-T |
| 最大通信速度 | 1Gbps (10Gbpsは最大55mまで) | 10Gbps (最大100mまで) |
| 周波数帯域 | 250MHz | 500MHz |
| ノイズ耐性 | 高い | 非常に高い (特にエイリアンクロストーク) |
| シールド | UTPが主流 (STPも存在) | UTP/STPの両方が普及 |
| ケーブル構造 | 内部に十字介在(セパレーター) | 十字介在に加え、シールド等のノイズ対策強化 |
| ケーブルの太さ | 標準的 (約6mm前後) | 太い (約7mm~8mm) |
| 価格 | 比較的安価 | 高価 (Cat6の1.5倍~2倍以上) |
| 互換性 | RJ-45コネクタで下位互換性あり | RJ-45コネクタで下位互換性あり |
| 主な用途 | 1Gbpsの家庭用・オフィス用ネットワーク | 10Gbpsネットワーク、データセンター、ノイズの多い環境 |
Cat6aは、通信速度、周波数帯域、ノイズ耐性といった通信の品質に関わる全ての項目でCat6を上回っているのが分かりますね。その分、ケーブルが太く、価格も高価になるという特徴があります。
通信速度や周波数帯域、ノイズ耐性
スペック表の中でも特に重要な「通信速度」「周波数帯域」「ノイズ耐性」について、もう少し詳しく見ていきましょう。ここが2つの規格の最も大きな違いですよ。
通信速度と周波数帯域
Cat6は最大通信速度1Gbpsに正式対応しています。一般的な光回線(1Gbpsプラン)の速度を最大限に引き出すには十分な性能です。また、ケーブル長が55mまでという条件付きですが、10Gbpsでの通信も規格上は可能です。
一方、Cat6aは最大10Gbpsの通信に完全対応しており、ケーブル長も100mまでその性能を保証します。これは、Cat6aが持つ500MHzという周波数帯域のおかげです。周波数帯域は道路の車線数のようなもので、Cat6の250MHzに比べて2倍の広さがあるため、10Gbpsという大容量のデータを安定して流すことができるんです。
ノイズ耐性
通信の安定性を左右するのがノイズ耐性です。LANケーブルは、内部の線同士が干渉する「クロストーク」や、他のケーブルや家電から影響を受ける「外部ノイズ」に常に晒されています。
Cat6は、ケーブル内部に十字の仕切り(十字介在)を入れることで、内部ノイズを抑えています。しかし、複数のケーブルを束ねたときに発生する「エイリアンクロストーク」というノイズへの耐性は、Cat6aほど高くありません。
Cat6aは、このエイリアンクロストークへの対策が規格で厳しく定められているのが大きな特徴です。ケーブルの外皮を厚くしたり、シールドで覆ったりすることで、周囲からのノイズを強力に防ぎます。これにより、ケーブルが密集するような環境でも通信が非常に安定します。
ケーブルの構造、太さ、価格の違い

性能の違いは、ケーブルの物理的な構造や価格にも影響を与えます。
構造と太さ
Cat6は内部に十字介在を持つ構造が一般的で、ケーブル外径は約6mm前後。比較的しなやかで、部屋の隅や家具の裏側などにも配線しやすいのがメリットです。
対してCat6aは、十字介在に加えて高度なノイズ対策が施されているため、ケーブルが太く、硬くなる傾向があります。外径は7mm〜8mm程度が一般的で、Cat6に比べると取り回しにくく、狭い場所への配線には少し工夫が必要になるかもしれません。
価格
価格面では、長年主流規格として普及しているCat6に軍配が上がります。大量生産によってコストが下がり、非常に安価に購入できます。コストを抑えたい場合には最適な選択肢ですね。
Cat6aは、高性能な部材や複雑な製造工程が必要なため、Cat6に比べて高価になります。同じ長さで比較すると、価格は1.5倍から2倍以上になることも珍しくありません。特にノイズに強いSTP(シールド付き)タイプはさらに高額になります。
機器との互換性について
「Cat6aのケーブルを買っても、うちの古いパソコンで使えるの?」と心配になるかもしれませんが、安心してください。Cat6とCat6aは、どちらも「RJ-45」という同じ形状のコネクタを使用しているため、物理的に接続できないということはありません。
ただし、性能面では注意が必要です。LAN通信の速度は、接続されている機器(ルーター、PC、ハブなど)とケーブルの中で、最も性能が低いものに合わせられるというルールがあります。これを「下位互換性」と呼びます。
性能が低い方に合わせられる具体例
- 例1:10Gbps対応ルーター + Cat6aケーブル + 1Gbps対応PC → 通信速度は1Gbps
- 例2:1Gbps対応ルーター + Cat6aケーブル + 10Gbps対応PC → 通信速度は1Gbps
このように、経路上のどこか一つでも1Gbpsまでの対応だと、全体の上限も1Gbpsになってしまいます。
10ギガ(10GBASE-T)通信での差

現在、超高速通信として注目されている「10GBASE-T」。これは、最大10Gbpsの通信を実現する規格のことです。この10GBASE-T環境において、Cat6とCat6aの差は決定的になります。
Cat6:条件付きで対応
ケーブル長が最大55mという制限のもと、10Gbps通信が可能です。ただし、ノイズが多い環境では通信が不安定になったり、速度が低下したりするリスクがあります。
Cat6a:完全対応
規格上、最大100mの距離まで安定した10Gbps通信を保証します。エイリアンクロストーク対策も万全なため、複数のケーブルが密集するデータセンターのような環境でも性能を維持できます。
つまり、確実に安定した10Gbpsの性能を引き出したいのであれば、Cat6aケーブルの選択が必須ということになります。
Cat5eやCat7との比較も解説
LANケーブルには、Cat6やCat6a以外にも様々なカテゴリーがあります。ここで、よく比較対象となるCat5eとCat7についても触れておきましょう。
| 項目 | Cat5e | Cat6 | Cat6a | Cat7 |
|---|---|---|---|---|
| 最大通信速度 | 1Gbps | 1Gbps (10Gbpsは55mまで) | 10Gbps | 10Gbps |
| 周波数帯域 | 100MHz | 250MHz | 500MHz | 600MHz |
| コネクタ | RJ-45 | RJ-45 | RJ-45 | GG45/TERA (本来の規格) |
- Cat5e:1Gbps通信に対応する旧世代の規格です。今から新しく購入する場合、より性能が高く価格も近いCat6を選ぶのが一般的です。
- Cat7:周波数帯域はCat6aを上回りますが、最大通信速度は同じ10Gbpsです。最も注意すべきは、本来の国際規格ではコネクタ形状が業務用の特殊なもので、一般的なRJ-45ではないという点です。
「Cat7準拠」ケーブルに注意!
市場で販売されているRJ-45コネクタ付きの「Cat7ケーブル」は、国際規格に準拠していないメーカー独自の「準拠品」です。性能を保証する業界団体も存在しないため、確実な10Gbps環境を構築したい場合は、規格が明確に定められているCat6aを選ぶのが最も安全で推奨される選択です。
LAN ケーブル カテゴリー 6 6a 違いを踏まえた最適な選び方
- あなたの環境での必要性
- デメリットとオーバースペック問題
- 将来性を見据えた選び方
- 失敗しない選び方のポイント
- 用途別のおすすめを紹介
- オンラインゲーム(FPS)での効果は?
- 手持ちケーブルの確認方法
- まとめ:LAN ケーブル カテゴリー 6 6a 違いを理解して選ぼう
あなたの環境での必要性

性能の違いがわかったところで、次は「じゃあ、自分にはどっちが必要なの?」という疑問にお答えします。これは、あなたが今使っている、あるいはこれから使う予定のインターネット回線と機器によって決まります。
Cat6が必要な環境
- 契約しているインターネット回線が1Gbps(1000Mbps)以下の場合
- 使用しているルーターやPCのLANポートが1Gbpsまでの対応である場合
- 主な用途がWebサイト閲覧、動画視聴、メールなど、一般的な家庭での利用
- コストを抑えつつ、安定したギガビット環境を構築したい場合
Cat6aが必要な環境
- 契約しているインターネット回線が10Gbps、5Gbps、2.5Gbpsの場合
- ルーターやPC、NASなどが10GBASE-Tに対応している場合
- NASへの大容量データのバックアップなど、家庭内LANで高速なデータ転送が必要な場合
- プロのeスポーツ選手や配信者など、通信の安定性を極限まで高めたい場合
- 新築やリフォームで、壁内にLANケーブルを先行配線する場合(将来性のため)
簡単に言うと、お使いの環境が1Gbpsを超えるスペックかどうかが、一つの大きな判断基準になりますね。
デメリットとオーバースペック問題
どちらのケーブルにも、メリットだけでなくデメリットが存在します。また、「オーバースペック」という考え方についても知っておくと、より賢い選択ができますよ。
それぞれのデメリット
Cat6のデメリットは、10Gbps通信に距離制限があることや、Cat6aに比べてノイズ耐性が低い点です。将来的に10Gbps環境が主流になった際に、性能不足となる可能性があります。
Cat6aのデメリットは、やはり価格の高さと、ケーブルが太く硬いために扱いにくい点です。また、現在の主流である1Gbps環境では、その性能を完全に活かせず「オーバースペック」となってしまいます。
オーバースペックでも選ぶ理由
「オーバースペック=無駄」と考えるのは少し早計かもしれません。たとえ1Gbpsの環境であっても、Cat6aを選ぶメリットはあります。
- 将来性への投資:将来10Gbps回線を導入したときに、ケーブルを買い替える手間とコストが省けます。
- 通信の安定性:優れたノイズ耐性は、1Gbps環境でも通信の安定性向上に貢献します。特に電源ケーブルなどが密集する場所では、速度低下のリスクを減らす効果が期待できます。
- 精神的な安心感:「最高の環境を整えている」という満足感も、意外と大事な要素だったりしますよね。
将来性を見据えた選び方

今後数年というスパンで見れば、Cat6はコストと性能のバランスが取れた選択肢であり続けるでしょう。しかし、10年先を見据えるなら話は別です。
Cat6aは10Gbpsに完全対応しているため、非常に将来性が高い規格です。今後、10Gbpsのインターネットサービスが一般家庭に広く普及したとしても、陳腐化することなく長く使い続けることができます。
特に、一度配線すると交換が非常に困難な壁の中や天井裏などにケーブルを通す場合は、迷わずCat6aを選択することを強く推奨します。これは未来への確実な投資と言えるでしょう。
失敗しない選び方のポイント
ここまで解説してきた内容を、4つのポイントにまとめてみました。この順番で考えていけば、あなたに最適なケーブルがきっと見つかりますよ。
LANケーブル選びの4ステップ
- 環境で選ぶ(回線と機器)
1Gbps以下なら「Cat6」、2.5Gbps/5Gbps/10Gbps環境なら「Cat6a」が基本です。 - 用途で選ぶ
Web閲覧や動画視聴なら「Cat6」。オンラインゲームや大容量データ転送など、安定性や速度を重視するなら「Cat6a」を推奨します。 - 配線場所で選ぶ
取り回しやすさ重視なら「Cat6」。ノイズ対策や、壁内など交換困難な場所なら「Cat6a」が最適です。 - 予算で選ぶ
最後に予算を考慮します。コスト重視なら「Cat6」、性能・将来性重視なら「Cat6a」を選びましょう。
用途別のおすすめを紹介

具体的な利用シーンごとにおすすめのカテゴリーを紹介します。自分の使い方に一番近いものを参考にしてみてくださいね。
- 一般的な家庭での利用(ネットサーフィン、YouTube視聴など)
→ おすすめ: Cat6
1Gbps回線の性能を安定して引き出せ、価格も手頃でコストパフォーマンス抜群です。 - 在宅ワーク(大容量ファイルの送受信、Web会議)
→ おすすめ: Cat6 または Cat6a
安定性が重要なので、1Gbps環境ならCat6で十分ですが、ノイズが心配な環境や、より万全を期すならCat6aも良い選択です。 - 動画配信・ストリーミング
→ おすすめ: Cat6a
アップロード・ダウンロードともに安定した高速通信が求められます。ノイズに強いCat6aが最適でしょう。 - 新築・リフォーム時の壁内埋め込み配線
→ おすすめ: Cat6a
将来の10Gbps標準化を見据え、現時点で最高の性能を持つケーブルを選ぶべきです。後からの交換はほぼ不可能ですからね。
オンラインゲーム(FPS)での効果は?
オンラインゲーム、特に一瞬の反応が勝敗を分けるFPSでは、通信速度の絶対値よりも「通信の安定性」と「低遅延(低Ping値)」が命です。
Ping値とは、データが自分のPCからゲームサーバーまで往復する時間のこと。この値が低いほど、操作の遅延(ラグ)が少なくなります。そして、このPing値を不安定にさせる原因の一つが「パケットロス(通信途中でデータが失われること)」です。
ここで活きてくるのが、Cat6aの優れたノイズ耐性です。外部からの電磁波ノイズや、他のケーブルからの干渉を強力に防ぐことで、パケットロスを抑制し、Ping値を安定させる効果が期待できます。
Cat6からCat6aに変えてPing値が劇的に改善することは稀ですが、ノイズによる不安定要素を極限まで排除できるため、最高のプレイ環境を求めるゲーマーや配信者にとっては、「勝利のためのお守り」として選ぶ価値は十分にありますよ。
手持ちケーブルの確認方法

「今、家で使っているケーブルってどっちなんだろう?」と思ったら、確認方法はとても簡単です。ケーブル本体を見てみましょう。
LANケーブルの被覆(外側のビニール部分)に、必ずカテゴリー名が印字されています。
印字の例:
- Cat6の場合:「CATEGORY 6」「CAT.6」「ANSI/TIA-568-C.2 CAT.6」など
- Cat6aの場合:「CATEGORY 6A」「CAT.6A」「AUGMENTED CATEGORY 6」など
文字が小さくて見えにくいかもしれませんが、ライトを当てながら探してみてください。メーカーによってはコネクタの付け根部分に刻印があったり、色分けされていたりする場合もありますよ。
まとめ:LAN ケーブル カテゴリー 6 6a 違いを理解して選ぼう
今回は、LANケーブルのCat6とCat6aの違いについて、スペックから選び方まで詳しく解説してきました。最後に、この記事の重要なポイントをリストでおさらいしましょう。
- Cat6は最大1Gbps、Cat6aは最大10Gbpsの通信速度に正式対応している
- Cat6もケーブル長が55m以内という条件下であれば10Gbps通信が可能
- 周波数帯域はCat6aが500MHzとCat6の2倍で、より多くのデータを安定して送れる
- Cat6aはノイズ耐性が非常に高く、特にエイリアンクロストーク(隣接ケーブルからのノイズ)に強い
- ケーブルはCat6aの方が太く硬くなる傾向があり、取り回しには少し注意が必要
- 価格は長年普及しているCat6の方が安価で、コストパフォーマンスに優れている
- コネクタは同じRJ-45規格のため、物理的な互換性に問題はない
- 実際の通信速度は、接続する機器やケーブルの中で最も低い性能のものに制限される
- 安定した10Gbpsのインターネット環境を構築するためにはCat6aケーブルが必須となる
- 現在のインターネット回線が1Gbps以下なら、基本的にはCat6で十分な性能を発揮する
- 10Gbps回線の契約者や将来のアップグレード予定があるならCat6aの選択を推奨
- オンラインゲームではCat6aの高いノイズ耐性が通信の安定性に貢献し、ラグの抑制が期待できる
- 新築やリフォームで壁内に配線する場合は、交換が困難なため将来性の高いCat6aが最適
- 市場に出回るCat7ケーブルは準拠品が多く、10Gbps用途では規格が明確なCat6aが確実
- 使用中のケーブルのカテゴリーは、ケーブル本体の表面にある印字で簡単に確認できる
この記事を参考に、あなたのインターネット環境や使い方にぴったりのLANケーブルを見つけて、快適なネットワークライフを送ってくださいね!